さざなみのよる作者:泉, 木皿河出書房新社Amazon「死ぬって言われてもなぁ」と死期の迫ったナスミは思う。43歳。癌にむしばまれた体はもう言うことをきかない。目が覚めると、生きていることにほっとしたり、体の辛さから解放されたくて、なんだまだ死んでないじゃんと思ったりもする。 『さざなみのよる』は、『すいか』『野ブタ。をプロデュース』などのテレビドラマの脚本でも知られる木皿泉の二冊目の小説。木皿泉が描くのは、変わらないものなんて、何一つないということ。そして、身近な人の死は、その事実を最も端的に突きつけてくる。物語は「第1話」でナスミの死が描かれ、第2話から第14話まで1話ごとに、夫の日出男、…