「そうだね、若い人こそ困るだろうが私など、まあよい。 丁寧に言っていらっしゃるのだから」 尼君は出て行った。 「出来心的な軽率な相談を持ちかける者だとお思いになるのが かえって当然なような、 こんな時に申し上げるのは私のために不利なんですが、 誠意をもってお話しいたそうとしておりますことは 仏様がご存じでしょう」 と源氏は言ったが、 相当な年配の貴女が静かに前にいることを思うと 急に希望の件が持ち出されないのである。 「思いがけぬ所で、お泊まり合わせになりました。 あなた様から御相談を承りますのを前生《ぜんしょう》に 根を置いていないこととどうして思えましょう」 と尼君は言った。 「お母様をお…