二十年近くお茶のお稽古をしている。だから、子供の頃よりは季節感というものを大切にしているように思われる。この自信のない書きぶりは、季節に鈍感である、という自負があるからだ。そうなる理由の一つに、草花の種類に弱い、ということが挙げられる。お茶を習い始めた当初も、花の名前が覚えられない、花が苦手だ、と言えば、花の得意な母に「草なのか木なのか、まずはそこからや」と言われたものだ。いまだに、草なのか木なのかよく分かっていない。 これはどっちだ? 緑の多い北鎌倉では、電車の扉が開いた瞬間に、わっと金木犀の香りが感じられる。線路の横の道を歩いている間中、ずっと金木犀の香りに包まれている。甘く、とても心地よ…