「大好きな子猫ちゃ〜ん!」 「ダーリンとラブラブデートしようぜ〜!」 「愛してるよハニー!」 綺麗な汗を流しながら、遠くのファンにまで手を振って楽しそうにそう叫んでいた彼の姿を、わたしは今でも鮮明に思い出せる。いつだって宝石みたいにキラキラと輝いていて、とびっきりの笑顔を向けてくれて、ありったけの愛を届けてくれた。ここへくるまでいろいろあったけれど、彼は、誰がなんと言おうと、正真正銘「究極のアイドル」だった。 せかいでいちばんだいすきだったひとが、アイドルを辞めた。「アイドルを辞めた」という表現が正しいのかはわからない。わたしは今、彼のことを追いかけていないから、もしかしたら彼はあの頃と変わら…