「豊後土工」のふるさとは、ただただ息を飲むほどに美しい。豊後水道に面したリアス式海岸がそのふるさとである。 古来、この地は「海部郡」と呼ばれその祖先は「海人族」を源流とする。近世には「佐伯の殿様浦でもつ」と称えられた漁業の盛んな土地であった。「上浦、中浦、下浦」に分治されたその土地は「九十九浦」とも別称されるほどに多種多彩な海岸線と生活習慣を有す。その生産高は石高に換算すると1万石はくだらないといわれ、佐伯藩2万石の財政はこの”隠れた運上1万石”を産する浦に負うところ多大であった。 国指定になった「豊後佐伯城」(1606年完成)は“近世に築城された総石垣造りの山城”として全国でも希少な城郭であ…