僕は森を歩いている。ふかぁい、深い森。ブナ林のはずだったが、いつかシラカバとカラマツの林になった。霧が流れてくる。ミルク色の粒子が、木々の間をふわり、ふわりと漂う。 確かに、その奥に人影を見た。二人いた。少し慌てるように、森の奥へ進んでいくのだった。灰色のコートと赤いコートが、残像として残った。どこへ行ったのか、もう見当たらない。霧の粒は、とても無関係な顔をして、ただ流れている。木々を風が揺るがし、霧は散った。 ふと、昔に読んだ詩を思い出した。なぜか、それはカタカナだった。 トオイトオイ ヤマオクデフカイフカイ ユキニウズモレテ……ネムッテシマウノ イツカ そうだった。冴子は書生さんと、深い雪…