見上げる空には青空が広がっている。真っ青な空に浮かぶ白い雲。のどかと表現できる光景だ。それを眺めて、ソルは体の中を流れる血を落ち着かせていた。 空の下、訓練場には「のどか」とは真逆な雰囲気が漂っている。強弱はあるが人々から放たれている殺気が、ソルを刺激している。ソルに向けられている殺気ではない。対戦相手であるルッツに向けられたものだ。敵として、味方であったのに無慈悲な作戦で、仲間を殺された人々の想いが、ソルの血をざわつかせてしまうのだ。 「いつまで待たせるつもりなのかな? それとも怖気づいた?」 苛立った様子でルッツが文句を言ってきた。挑発も含まれているが、それがソルを苛立たせることはない。頭…