灰色の世界に住む男には、自信をもって好きだと言えるようなものが何もなかった。 何もなかったが、その鮮彩な動画からは目を離せなかった。気がつけば多くの年月をアニメと共に過ごしていた。幻想的な別世界の物語に夢中になり、心動かされることもあった。 近年は少なくなったとはいえ、男がアニメ視聴に費やした時間は平均よりも明らかに多い。故に自身の嗜好を他者に伝えたいとき、アニメは最も適した媒体の一つになるだろうと男は考えた。 男は自らの輪郭を書き留めるために振り返る。過去の自分と、共に在った世界を。 はじめに 注意 除外する作品 小児時代1(このあたりは後に再放送で見たと思われる) 1981年(1作品) 1…