ブッダ(お釈迦様)という人物を現代の倫理感でとらえることの危うさを知ることができ、無我と縁起の解説本として分かりやすい。 我々が普段お釈迦様と呼んでいるシャカ族の王子ガウタマ・シッダールタ(以下ブッダ)は現在より2600年ほど前に実在した人物である。仏教はブッダが開祖とされている宗教であるが、現在の我々日本人が知っている仏教はブッダの思想とはおおきくかけ離れている。2600年もの年月が経っているので変わっているのは当たり前であり、本書はブッダが本来思い描いていた思想・観念を初期仏典から読み解いたものである。 とはいえ、現代の我々が知っている仏教を間違ったものとして説いているわけではない。あくま…