歌舞伎座第三部を観劇。まん防法はとけたが、感染者数は増えもしないが減りもしないと云うところで、またいつ次の波が押し寄せて来るか判らない状況が実に気掛りだ。この後GWもあり、またぞろまん防法が適用されるか、予断を許さない現状である。そんな中だが歌舞伎座に玉孝が揃うとあって、いい入りの三部。そして狂言の内容も期待に違わぬ素晴らしいものだった。 幕開きは『ぢいさんばあさん』。筆者的には明治の鴎外、大正の谷崎、昭和の三島が近代小説の三巨人だと考えている。三人とも作品が歌舞伎化されている(三島は歌舞伎化ではなく、歌舞伎作品を書いているのだが)のも共通項。その森鷗外の短編を「昭和の黙阿弥」宇野信夫が脚色し…