今週のお題「あったかくなったら」 つるつるの壺 (講談社文庫) 作者:町田康 講談社 Amazon 標題の書は町田康氏が小説家として名が売れ出した頃のエッセイ集であり、いろんな作家の文庫本の巻末に付いている「解説」もいくつか収められてもいる。 この作品集を説明してしまえば上記のごとく、ごくごくあっさり終わってしまう。これでは「美味しそうなマグロの刺身がある」というのと同じことだ。いやしくも「読後感」というからには、まずそのマグロがどのように旨かったのかを、舌の上に乗せた瞬間にとろけてしまっただの、こいつは確かに荒海を生き抜いてきたということを見事に示す締まった赤身だっただのと、味わいをきちんと…