神戸に引っ越しを決める前に、「神戸に住むのもいいかもしれない」と思ったきっかけがある。平民金子さんの著書『ごろごろ、神戸。』を読んだことである。平民さんは、この本の中で、ご自身の子供をベビーカーに乗せて、ベビーカーをごろごろと押しながら神戸をうろついて、見た風景を書いている。神戸のごく一部のランドマークを知ってさえいれば、平民さんの文章が、神戸の目立たないけど味わい深い街角をくっきりと見せてくれる。モザイクやトアロード、北野や南京町、そういうキラキラしたところではなく、地元の人が、カッコつけずに普段着で買い物しに来たり食べに来たりしている生活のための神戸の街角。 この本には湊川や新開地の一帯が…