若い頃にチャレンジしてみたものの、途中で頓挫してしまった本が数冊かある。その中の一冊に『初期心的現象の世界―理解のおくれの本質を考える―』(村瀬学著)があり、その続編に位置づく『理解のおくれの本質―子ども論と宇宙論の間で―』に至っては40年近くも積読状態になっていて、本の存在自体が私の意識外に置かれてしまっていた。ところが、65歳を過ぎてから松山市教育委員会の特別支援教育・指導員という職に就き、何らかの困り感をもつ子どもに対する適切な関わり方や支援の仕方等について担任の先生や保護者に助言するという立場になった私は、まず発達障害と言われる「自閉スペクトラム症」(ASD)や「注意欠如・多動性障害」…