「ヒルビリー・エレジー」を読み『春秋(250321)』 は思う▼米国副大統領のバンス氏が無名時代に書いた回想録、題の直訳は「田舎者の哀歌」。ラストベルトの空気が手に取るように伝わってくる▼町は仕事も希望もなく親は薬物依存症。貧困が地域の伝統。祖母は嘆く。「働きづめの人間がかつかつでの暮らし、のらくら者が税金で酒や携帯を買っている」。軍を経て難関大学に進学、法律事務所で働くための面接は高価な夕食会。ワインの注文、ナイフとフォークの使い方にいちいち戸惑う様が切ない▼民主党のエリートや知識人から、なぜ労働者たちの心は離れたのか、答えが見えるようだ。何かのせいにして働かない人をバンスは嫌う。関税で産業…