4月末のある日。 雨がふっている。 そんなに大粒ではないが、傘は必要な、しとしと雨であった。 駅から研究室まで10分ほどの距離を歩いている。 学校の門の前の桜もそろそろ、散り終わり、緑色の葉っぱが多くでている。 この季節、雨が多い。はしり梅雨とでもいうのであろう。 しかし、あたたかくなったことで、朝でもあり、ここちよい。 坂道を登り切って、研究棟に入ろうとしたとき、下宿生のUが反対の道からやってくる。見ると、髪の毛がぐっしょり濡れている。 私「おい、びしょびしょじゃないか」 U「うん、探したんだけど、傘がなくってさ」 私「それで、傘なしで来たのか?」 U「ああ、どうも研究室に忘れたらしい。だけ…