京都市にあるVHS専門のビデオレンタル屋さん。HPはこちら。 単体ではDVDになってないような映画史的に有益なソフト多数。
店長大森さんのおすすめリストは、新しい映画との出会いに満ちている。 追加のおすすめリストはこちら。
<掲載> 2014年6月27日京都新聞 凡語(注:文中「閉店宣言」という言葉が出てくるが、2015年の年明けもなんとか迎えられている。)
2014年2月1日付け毎日新聞大阪本社版夕刊
ミニコミ映画誌『DVU』2号(詳細はDVU公式ブログのバックナンバー情報に。)
movies.yahoo.co.jp 昭和12年嵐寛寿郎プロダクション作品。 国定忠治の物語。「赤城の山も今宵限り」というセリフだけは知っていたが、トータルのストーリーは知らないもので、山根貞男さんの解説には「お馴染みのドラマ」と記されている冒頭の板割の浅太郎が叔父の首をかかえて赤城山へ戻ってくる挿話など、推測で観る感じだったが、ちょうど歌舞伎や文楽で一幕だけ観るような感じになり、それなりの楽しみ方だった。ここは、一度前段の部分も観てみたい。赤城山を下りるシーンはあったが、件の台詞は出てこなかった。 そのあと、山形屋の場というのがクライマックスシーン。これはきちんと描かれていて楽しめた。山形屋…
ジョン・フォードの後期の作品をいくつか観た。 まずは「ミスタア・ロバーツ」(55) ミスタア・ロバーツ(字幕版) ヘンリー・フォンダ Amazon 舞台は太平洋上の補給船 ジェームズ・ギャグニー演じるエゴイスト艦長の下で働くヘンリー・フォンダ(ミスタア・ロバーツ)。傍らにはお調子者の部下ジャック・レモンと落ち着いた軍医ウィリアム・パウエル。 船という動けない空間での専制政治。自分には学校のようでもあり、人によっては職場のようだったりもするだろう。 下のものの気持ちを考え仕事のできる男ヘンリー・フォンダ、上司ジェームズ・ギャグニーの勝手さ無能さゆえこの船での仕事にうんざりしておりまた現場で活躍し…
ストリート・オブ・ファイヤー [DVD] マイケル・パレ Amazon 84年 公開当時なんか流行ってるなあという気持ちでいたと思う。ふや町映画タウンのおすすめに入っていたもので観てみた。 ダイアン・レインがロックの歌姫の役。上手!と思ったら吹き替えらしかった。(吹替使った方が説得力あっていいだろうな) そこに殴り込みをかける粗暴な黒皮ジャンの連中 棟梁はウィレム・デフォー。凶悪。こんな役もしていたんだ。黒皮ジャン集団、「さらば青春の光」*1でモッズと対抗していたロッカーズも連想させられる。 その凶悪集団に乗り込む主人公たち・・まじめ系の自分はこれ、警察のマターだよなとちらっと思ったりもしたけ…
エレクション~黒社会~ [DVD] サイモン・ヤム Amazon ジョニー・トー監督の特集上映会で「エレクション 黒社会」(2005)鑑賞。 demachiza.com 長老たちのゆったり飲茶みたいな空気の端からの抗争シーンなどもとても良し。「アウトレイジ」(2010)*1なんかも、この辺の空気もらってきてるんじゃなかろうか?ユーモアと緊張。乾いた人間観察の面白さ。 香港映画、いつも本気度が凄いと感じるが、こちらもしょっぱなからかまされる。 衝撃を受けたのは「人は信じず組織を信じる」って風情のニック・チョン。後半にも見せ場があるが乱闘中液体をかぶって白塗りみたいな形相になりつつフラメンコのよう…
戦前〜戦中映画を二本 1.東京の女 www.cinemaclassics.jp wowow のリメイクドラマ*1を観たあとこちらを。 オリジナルだけみていると大げさで拙くもみえる悲劇にドラマはうまい肉付けをし、「東京の女」の弟、良ちゃんの持つイノセントさを上手にソフトランディングさせていたな、あのドラマを観たことでオリジナルを楽しめたなと感じる。 オリジナルに出てくるマスコミの土足感もリメイクではそれ自体を見世物にすることなく、マスメディアは絡ませながらも特定のなにかを悪者にして終わるのではない成熟が感じられた。 2.簪 あの頃映画 簪(かんざし) [DVD] 田中絹代 Amazon 再見 初…
ふや町映画タウンに実相寺昭雄監督の「キャスリーン・バトル/リリック・ソプラノ(1987)」と「ディーバ/キャスリーン・バトルの歌声」という二本のビデオがあったので借りてみた。 実相寺監督っぽい奇抜な演出などはなく、音楽ビデオらしくきちっと撮られたものであった。前者のビデオ(5/25人見記念講堂のライブとのこと)にはさまれた解説の実相寺監督の言葉によると、監督は70本ほどの音楽中継を手掛けてこられていたが、オーケストラや室内楽を撮る時のような目先の変化がなく、演出泣かせであったとのこと。「ソニーの酒井さんに乗せられて」というような言葉が載っていたけれど、酒井正利プロデューサーのことかな。大ヒット…
リオ・グランデの砦(字幕版) ジョン・ウェイン Amazon 政治ドラマや戦闘ものみたいなストーリーに家庭や異性を絡ませてあるとなんかごまかされたようなつまらない気分になりがちの自分だが、これは家庭の絡ませ方が秀逸で何よりそこを味わう作品だった。 個人的には納得のいかないミッションにも耐え、くたびれながらも任務を遂行し続けるジョン・ウェイン。陸軍士官学校を数学の点数でドロップアウト、エリートコースからの挫折を体験した息子は兵士を志願し、望んだわけではないが彼の駐留地への配属となる。なんと双方にとってやりにくいこと! まずは部下たちの特別扱いが息子を居づらくする。わだかまりの解決はよくある雨降っ…
黒沢清監督のビデオ作品を二本 一本目 復讐 運命の訪問者(1997年) 復讐 運命の訪問者 [DVD] 哀川翔 Amazon 哀川翔が過去に傷を抱えたまじめな警察官という設定はとてもいい。寺島進の「おかえり」*1のように日頃他の作品ではやんちゃな方で爆発しているエネルギーが内に回って真面目なベクトルに生かされている感じが素晴らしい。暴発してしまうようなマグマがあることを無意識に感じ銃を携帯しないで自分を律する彼。この辺の設定はとても丁寧。 源頼朝と平清盛を思わすような設定。(子どもに慈悲をかけたがゆえの展開)。保護司を物語のキーに持ってくるところも面白い。途中から六平直政の凶悪さが強調され、オ…
「アンナ・カレーニナ」を二作品鑑賞 まずはグレタ・ガルボ主演 クレランス・ブラウン版。(1935)こちらはふや町映画タウンのおすすめ。 アンナカレニナ(字幕版) グレタ・ガルボ Amazon そしてジュリアン・デュヴィヴィエ監督、ヴィヴィアン・リー版。(1948) アンナ・カレニナ(字幕版) ヴィヴィアン・リー Amazon 他にもたくさんあるのだけどこの二つ、両方とも2時間以内だし長大な原作からエッセンスを拾って映画にしたものだろうけど多分デュヴィヴィエ監督のほうが原作寄りなんじゃないかと思う。アンナにとってよろしくない情報がさらっとだけど描かれ観ているこっちはちょっと冷静に彼女のことを観て…
「イヴの総て」のようなショービズの、背後から後輩がねらってるぞ、ってな話で主人公は鼻っ柱の強い野心家。演出がこってりどぎつく、どうやらラジー賞までとってしまったらしいが、全く退屈せず。品が良いか悪いかでいえば悪いほうだろうけどメリハリと露出で釘付けに。露出の方は大陸的な大味で隠微に刺激する感じはまるでない。 バーホーベン監督って一筋縄ではいかない評判をきく気がするが、無意識にいい話を期待している自分を気持ちよく裏切ってくれるところが爽快。 先日、「ふや町映画タウンおすすめの次点たち」という微妙な紹介のされ方ではじめて観たバーホーベン監督の作品「スターシップ・トゥルーパーズ」も宇宙戦争ものなんか…
今日は、はてなブログ仲間、ponymanさんとエールの交換。 ふや町映画タウンのオーモリ店主さんと温めている「映画1000本ノック」のことをご自身のはてなブログ『日常整理日誌』に採り上げていただいた。 ponyman.hatenablog.comroppanakurasikkueiga そうなのです。「立派なクラシック映画」というと、敷居が高そうで、敬して遠ざけがちだが、「観始めたらえらく身近で楽しい。名作は観客が観やすい技術も持ち合わせている」ものなのです。 1000本ノックに教養や知識は要らない。歴史観やら世界観たら問題意識・社会意識なんぞ厄介なものは一切なしで大丈夫。ただただどっぷりつか…
はてなブログ「2ペンスの希望」の管理人 神戸山さんとは、父の大学の映画部、そして京都のVHS専門店 ふや町映画タウンという二つのつながりを通して知り合いにならせていただいている。 かねがね、ふや町映画タウンの大森さんと「映画1000本ノック」という話をされていた。↓ 数字の話 1000本ノック - 2ペンスの希望 (hatenablog.com) 数字の話 1000本ノックつづき - 2ペンスの希望 (hatenablog.com) ふや町映画タウンのおすすめ作品1000本も名作ぞろいで、逆にいつでも観られる式に観るのがすっかり遅くなってしまっていたが、最近観始めたらやはり観ておいてよかった作…
「黄色いリボン」を朝家で観たあと、十三 シアターセブンで「ハマのドン」を。 「黄色いリボン」は 黄色いリボン(字幕版) ジョン・ウェイン Amazon 退役まで数日の騎兵隊大尉をジョン・ウェインが演じたジョン・フォードの西部劇。ふや町映画タウンのおすすめなので観てみる。 騎兵隊なんて今の生活からえらくかけ離れた物語なんだが、まさに組織の中の中間管理職としての、これは問題がおきそうだと思われる上からの命令への対応、下の気持ちの汲み上げ、規則と感情の折り合いなど時代や居場所を越えて共感を覚える。 定年カウントダウンの男の心境、ひとは称号があるうちだけ敬礼する、というようなことばも、少なからずあると…
東京キッド [DVD] 美空ひばり Amazon ふや町映画タウンでは「エノケンは控え目登場がいい」という話が定説。この作品や「虎の尾を踏む男たち」*1が例として上がっていた。確かにそうかも。 この作品でもエノケンの出方いいし面白い。古いアパートでの自由すぎるお商売、まるで香港映画「恋する惑星」や「天使の涙」の舞台であるチョンキンマンション的な空気も。美空ひばりは男の子の格好が魅力的ある。時代劇等で主人公のコミカルな庇護役みたいなイメージ持ってた堺駿二、こういう抑えめ脇役もいい。 ひばり映画、よく身近な人が簡単に亡くなったりして*2安易なメロドラマ的つくりにみえたりもするのだけど、1950年代…
ゼンダ城の虜(字幕版) ロナルド・コールマン Amazon ふや町映画タウンのおすすめ作品で、「修羅城秘聞」*1や「桃太郎侍」*2の源流ときき観てみる。 現実とかけ離れたようなタイトルだが釣りに来たイギリス人が、その国のあとつぎと顔がそっくりで入国管理でびっくりされてしまうところから始まる。その表現がユーモラスで楽しくさっと映画の世界に入れる。ロマンス表現もとても切なくてgood(ちょっと「ローマの休日」のよう) ダグラス・フェアバンクス・Jrの剣さばき美しい。 一番気になった人は、謹厳な家老のような人なんだけど・・カイゼル髭で重厚な姿のユーモア。名前わからず。 *1:修羅城秘聞(双龍の巻)、…
ふや町映画タウンおすすめの西部劇系映画を二本。 「果てしなき蒼空」(ハワード・ホークス 1952)と「彼女は二挺拳銃」(リチャード・セイル 1950) まず一本目の「果てしなき蒼空」 果てしなき蒼空(字幕版) カーク・ダグラス Amazon 川で半年も登って行かなきゃいけないような奥地の部族のところに、別の部族だかに捕らわれていたネイティブ・アメリカンの女の子を送り届け、恩を売って毛皮交易をしようと試みる男たちの物語だが、主人公はひょんなことからそれに同行するカーク・ダグラス。 彼はただ流れるままにそのプランに乗っかり命がけの冒険をすることになるのだが、全編寛容で心に余裕があり大変魅力を感じる…