番匠川は豊後海部郡・佐伯地方を東方の豊後水道に向かって流れ下っている。豊後では祖母傾山系を源流とし別府湾に向かって流れ下る大河大野川に次ぐ規模の川である。 その源流から主要な流域に亘って昭和初期まで因尾村と中野村があった。両村は合併され本匠村(現佐伯市)となったが固有の生活文化はそのまま現在に至るまで維持されてきた。筆者はその旧中野村を故郷とする。 大神佐伯氏時代(16世紀末まで)、佐伯藩毛利氏時代(江戸期)を通じてのこの村の政治社会的役割を振り返る。 生活規模を推し量る人口は、過疎化、老齢化の進展で江戸期、戦前に比較し激減した。戦前から約八割減には驚きを覚える。日本の地方が抱える問題の典型例…