「恋の歌」から離れてみる。 「おほほしく」の続き。 1)"夜渡るわれ"の歌。意味深? 万葉集10巻(秋の雑歌)の中で「詠鴈(かりをよめる)もしくは(かりをよみき)」という題詞の付された13首の歌(2128~2140)の最後の歌です。 歌番号 10-2140 本文 璞 年之経往者 阿跡念登 夜渡吾乎 問人哉誰 読下し あらたまの 年の経行けば 率ふと 夜渡る我を 問ふ人や誰 訓み あらたまの としのへゆけば あどもふと よわたるわれを とふひとやたれ 訳 もう何年も経ったので 連れていこうと思って 幾夜も通いつめる私なのに、(今更おぼつかないかと)問うのは、一体誰だろう。 ●作者 未詳 ◆念のた…