80年代に熱狂して読んでいた椎名誠のアウトドアエッセイ。このところキャンプに興味が湧いてきて、キャンプと言えばそういえばこの名著があったことを思い出した。 椎名誠の会社仲間や友人や親族などで結成された東日本何でもケトばす会(略称東ケト会)が、離れ島に出かけて数日間のテント生活をするさまを面白おかしくバカバカしくドタバタと描く。汗臭い、男臭いキャンプ生活に色気はなく、バカで愛すべき男たちなのだ。陰気な小安、釜たきメグロ(書評家の故北上次郎)などの呼称も懐かしい。 昭和軽薄体と呼ばれたギャグ盛り込みの文体は今読むといささか鬱陶しい気がしないでもないが、脂の乗った時期の椎名作品だけに三十数年ぶりに読…