『コールドマウンテン』(アンソニー・ミンゲラ監督、2003年)は、南北戦争末期。負傷兵インマン(ジュード・ロウ)は、荒廃し暴力が蔓延するアメリカ南部を抜け、恋人エイダ(ニコール・キッドマン)のもとへ帰るため、果てしない旅を続ける。物語は一見、シンプルなラブストーリーのように見える。 これほどのキャストと舞台が揃っていながら、見終わったあとに心に残ったのは、感動や衝撃ではなく、どこか掴みきれない“空白”だった。 描こうとしたテーマは明確だ。帰還と再会への執念を通じて、帰るべき場所と人があることが人をどれほど支えるかを示している。また、戦争の非英雄的な側面として、戦場だけでなく銃後にも暴力が蔓延し…