担任は杉山豊先生であった。「諸君は既に紳士である。自由に責任をもって行動してほしい。ただ一言注意しておくのは、あまり机にかじりついて勉強しているようでは碌な作品はできない。ここは銀座に近い。一日に一度ぐらい銀座に出て散歩するがいい。そこで吸収するものは、学校で習うものよりも栄養になる。図案科に入ったからといってデザイナーにならなくてもいい。小説家でもダンサーでも何でもいい」 杉山先生はちぢれ毛で、両方の眼が開いているが、都会的に洗練されていた。 ぼくは感動した。いい学校へ入ったと思った。(やなせたかし『アンパンマンの遺書』岩波現代文庫、2013) おはようございます。オリンピックも終わったこと…