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新作のバーチャル・リアリティ・ゲーム「イグジステンズ」を巡り、人気ゲーム・デザイナーと平凡な青年が、反ゲーム主義者の追撃をかわそうとする。
現実と空想が入り乱れるSFスリラーは、クローネンバーグ久々の娯楽映画となった。『スキャナーズ』の頃のタッチを思い出させる作品は、バーチャル・リアリティを扱ってもクローネンバーグ印がいっぱい。脊髄に穴を開けて肉質のチューブを差し込んでログインする。肉隗型ゲームマシン。魚の骨で出来た拳銃。突然変異の畸形両生類解剖場面いっぱいと、お得意のグロテスク描写もふんだんにある。
機会と肉体の融合というテーマは、『ビデオドローム』の焼き直しかとも言いたくなるが、難解で前衛的なあちらに対して、こちらは娯楽スリラー仕立てになっているのが大きな違い。
ジュード・ロウは大人しめの演技だが、主人公の男性が状況に右往左往するのはクローネンバーグ映画の常。『アイズ・ワイド・シャット』の出演を途中降板してまでこの役に臨んだジェニファー・ジェイソン・リー演ずるゲーム・デザイナーが彼を引っ張るのも、女性が強いクローネンバーグ映画らしい。
Existenz: Music from the Motion Picture
*1:Rated R for strong sci-fi violence and gore, and for language.