イデア論批判 アリストテレスは師であるプラトンのイデア論に対して批判を展開し、自身の哲学を形成しました。その批判の中心は、「形而上学」や「ニコマコス倫理学」などの彼の著作に表れています。 1. 形相(エイドス)と質料(ヒュレー)の関係 アリストテレスの「形相と質料」という考えは、プラトンの「イデア論」に対する根本的な代替理論です。 形相(エイドス) 形相は物事の本質や性質を指し、何かを「それらしく」している要素です。例えば、テーブルの形相は「物を載せるための構造」というその本質です。 質料(ヒュレー) 一方で、質料は物事の「素材」や「材料」を意味します。テーブルであれば、その質料は木材や金属と…