ビザンツ帝国、またの名を東ローマ帝国と呼ぶその国は、かつて地中海世界の全てを支配していた人類最高の帝国、ローマの残滓とも言える存在であった。 4世紀のゲルマン民族の大移動により混乱に陥ったローマ帝国は、その100年後にローマを中心とした西ローマ帝国が滅亡。コンスタンティノープルを中心とした東ローマ帝国はその後も長く生き存える続けるものの、ユスティニアヌス大帝の時代のわずかな領土回復の瞬間を除けば、殆どが異教徒と異民族たちによる侵攻、そして繰り返される内乱による領土の縮小と衰退の一途を辿り続けていた。 言わば、ビザンツ帝国とは、敗北し続けるだけの鈍重な巨象であった。 しかし、この運命に抗う姿勢を…