3.今日の発展と課題 アメリカは多民族国家であるにもかかわらず、これまで広く用いられてきた心理学の理論は、多くの場合、中産階級の白人クライアントを前提として構築されてきました。そこでは、文化や民族による違い――価値観、家族観、言語、宗教観といった多様な要因――が、十分に考慮されてこなかったのです。 こうした限界に対する反省とともに、フェミニズム運動との連携のもとに発展してきたのが多文化カウンセリングの領域です。この潮流は、従来の心理学に対する新たなアプローチとして注目され、**「第4勢力(Fourth Force)」**とも呼ばれています。 さらに近年では、精神の問題を生物学的なレベルで捉えよ…