William Wyler 監督、プロデューサー
あらゆる題材を名作に仕上げてしまう安定感ある、ハリウッドの黄金期を創生した大黒柱である。フランスで教育を受け、1920年に渡米し、最初は映画の宣伝を生業〔なりわい〕としていたが、助監督を経て、1926年に監督に昇進している。 完全主義者であり、「90テイク・ワイラー」と呼ばる位に、自分が納得するまで撮り直しをしていた事でも知られた。
ウィリアム・ワイラー監督の「女相続人」を見てきました。物語の舞台は19世紀のニューヨークです。医師で資産家の父親は、年頃なのに、内気で非社交的な一人娘のキャサリンのことを案じています。そんな中、パーティでキャサリンの前にハンサムな青年モーリスが現れます。キャサリンの家を度々訪れて求愛するモーリスに、彼女はたちまち夢中になり、彼との婚約を受け入れます。しかし父親は、モーリスが、財産目当てにキャサリンと結婚しようとしていると決め付け、二人の結婚に強く反対します。キャサリンは必死に父親を説得しますが、父親の疑いは揺らぎません。やむなくキャサリンは、父親の財産の相続権を放棄してモーリスと結婚することを…
昨日、休暇を取ってシネマヴェーラ渋谷で「嵐が丘」を見てきました。エミリー・ブロンテの「嵐が丘」は繰り返し映画化されていますが、今回見たのはウイリアム・ワイラーが監督した、ローレスンス・オリヴィエとマール・オベロンが主演した1939年版です。以下、ネタバレ有りです。舞台はイングランドのハワード村。村の周囲には強風が吹き荒れる荒地が広がり、主人公キャシーが生まれ育った屋敷は「嵐が丘」と呼ばれています。キャシーは荒地に咲くヒースの花を愛する田舎娘であり、屋敷の使用人の貧しい若者ヒースクリフに共感し、荒地の大岩の下で愛を語り合います。しかし一方で彼女は裕福で贅沢な暮らしにも強く憧れており、ヒースクリフ…
愛は、束の間の輝き。ウィリアム・ワイラーの『ローマの休日』は、ロマンスの不朽の名作。オードリー・ヘプバーン演じる王女アンがローマで自由を味わい、グレゴリー・ペックとの恋が軽快で切ない。ヴェスパが街を駆け、1950年代の魅力が溢れる。ヘプバーンの可憐さとペックの誠実さが心を温め、愛と責任の葛藤が胸を締めつける。モノクロ映像が時代を超えた美しさを伝え、ハリウッド黄金期の輝きを放つこの物語は、恋の魔法を信じたくなる。
午前十時の映画祭で「ベン・ハー」を見ました。アカデミー賞を大量獲得した超有名作品ですが、私は未見でした。時代は紀元1世紀、主人公はユダヤ人の青年ベン・ハーです。当時、ユダヤの地はローマ帝国に征服されており、ベン・ハーと母親と妹は、ローマ帝国の司令官に出世したかつての親友メッサラにより、無実の罪で捕らえられ投獄されます。ベン・ハーは、母親と妹の生死も分からぬまま、罪人として鎖に繋がれ労働を強いられますが、信仰とメッサラへの憎悪の念を支えに、数年間にわたる過酷な苦役を生き抜きます。そして、ローマ帝国の長官の目に止まったベン・ハーは労働から解放されるものの、母親と妹が既に亡くなっていると聞かされ、メ…
噂の二人 [DVD]オードリー・ヘプバーンAmazon 基本情報 The Children's Hour ★★★☆ 1961 ヴィスタサイズ 109分 @DVD 感想 ■あらすじは、以下の記事で書いてしまったので、省略。大昔にたぶん2回観ているが、どうも陰気で地味な映画で、失敗作という印象だった。ワイラーは1936年に『この三人』というタイトルで、同じ戯曲を映画化していて、でも同性愛を直接扱うことができなかったので、ヘテロな三角関係に改変している。でもそれはそれで飲み込みやすいよくできたメロドラマになっていて、これはかなりの佳作だった。『この三人』に比べると『噂の二人』はなあ。。。というのがこ…
偽りの花園(字幕版)B.デイヴィスAmazon 基本情報 The Little Foxes ★★★★ 1941 スタンダードサイズ 115分 @アマプラ 感想 ■1900年、南部のギデンズ家では、南部の極安賃金労働の利を活かして綿工場を設立するためシカゴの資本家に共同出資しようとするが、レジーナの病弱な夫が首を立てに振らないため、彼女の実家の兄たちは貸金庫にある鉄道会社の債券を勝手に使うことを企む。呼び戻された夫は異変に気づき、それでも妻に貸したことにして穏便に済まそうとするが、遺言を変更することにレジーナは反発する。。。■サミュエル・ゴールドウィンが製作して、リリアン・ヘルマンの戯曲をウィリ…
ローマを一躍有名にした映画 アメリカ、ウィリアム・ワイラー監督 118分 王室生活の不自由さに嫌気がさしたアン王女は滞在先の大使館を抜け出す。アメリカ通信社の記者ジョーや同僚のカメラマン、アーヴィングと知り合い、ローマの街を観光気分で歩き回り、つかの間の自由を満喫する。 やがて冒険の一日が終わるとアン王女は大使館に戻ってゆく。 長い髪をバッサリと切り、スペイン広場の階段でジェラードを味わい、スクーターで街を駆け抜け、「真実の口」におっかなびっくり、「願いの壁」の前に佇み、船上でのダンスパーティでの乱闘・・・見どころは満載。 特にラストのアン王女と記者たちとの会見シーンが最高に素晴らしい。アン王…
大いなる西部 グレゴリー ペック Amazon ★★★★★ テキサス州。東部からジェームズ・マッケイ(グレゴリー・ペック)という紳士がやってくる。当地はテリル少佐(チャールズ・ビックフォード)が牛耳っており、ジェームズは少佐の娘パット(キャロル・ベイカー)と結婚する予定だった。少佐は水場を巡って地主のルーファス・ヘネシー(バール・アイヴス)と争っている。水場は教師のジュリー・マラゴン(ジーン・シモンズ)が所有していた。ジェームズは少佐の牧童頭スティーヴ・リーチ(チャールトン・ヘストン)に嫌われており……。 西部劇の最高傑作はジョン・フォードではなくウィリアム・ワイラーが撮ったのではないか。そう…
黒蘭の女(字幕版) ベティ・デイヴィス Amazon またまたウィリアム・ワイラー×ベティ・ディヴィスの作品。ちらっとみたあらすじで「悪女ものか」と思いながら鑑賞。良くてびっくり。 ベティ・デイヴィス演じる主人公は勝ち気な南部の女。「風と共に去りぬ」も思い出すななんて思っていたらベティ・ディヴィスが「風と共に〜」に出る可能性もあったことも手伝ってモノクロの「風と共に去りぬ」とも呼ばれているらしい。美しくてかっこいい。 南部の文化ってこういう感じかと実感したり、ベースになる恋愛話もワイラーの演出がくっきりしていてちょっと安易に想像してしまうようなクラシック映画の恋愛ストーリーとは一線を画している…
続けざまにウィリアム・ワイラーの作品を観てる。先日観た澤島忠監督のインタビュー*1でもお手本として言及されていたし、twitterでもふや町映画タウンの常連さんがふや町がおすすめとして紹介してくれたおかげで出会えた作品としてワイラーのものを挙げておられたから。 「偽りの花園」「西部の男」「デッド・エンド」「探偵物語」「孔雀夫人」と観ていきどれも退屈しない。 まず観た「偽りの花園」 偽りの花園(字幕版) B.デイヴィス Amazon どろどろの一族もの。「華麗なる一族」みたいに金に目がくらんだら兄弟でも・・みたいな話で楽しめる。要点が絞ってあって上質。夫の高邁さにつきあいきれんわいと思いながら投…