早稲田松竹でケリー・ライカートの映画4本を立て続けに観る。4本とも掛け値なしに素晴らしかった。『リバー・オブ・グラス』(1994年)はデビュー長編というのもあるが、ライカートが評価されるきっかけになったと言われる長編2作目『オールド・ジョイ』以降の2000年代の3作品とはかなり作風が異なっている。しかしながら、ライカート自身の人生において培われたアメリカ社会への独特な視点がすでに内包されている。アメリカ社会の中で「自由とは何か」「自らの意志を持つとはどういうことか」といった漠然とした問いへの感覚を映画表象によって先鋭化してきたライカートの原点が垣間見える。4作品の中でも、特に『オールド・ジョイ…