Wedding Dress
結婚衣装のこと。
―ウエディングドレスの歴史―
【古代ローマ時代】 1〜5世紀頃
サフランの花で染めた黄色が縁起がよい色として好まれていた為、花嫁衣裳は黄色が普通だった。
【ビザンチン】 395年 - 1453年
この時代の結婚衣裳の色はその家系の由来を表現する色目と紋章(クレスト)をもとにして決められた為、
使われる色としては、まだはっきり決まっていなかった。
また結婚衣裳がより豪華であることが、その家系の豊さと権力・地位を象徴するものと考えられていたので、
海外からもたらされた金・銀の織物で作られていた。さらにその上から宝石類で美しく刺繍が施されていた。
そのスタイルはそれぞれの時代のコスチュームと同じ型であって、
特別に結婚衣裳のためのスタイルというものはまだ何もなかった。
【ロマネスク】 11世紀から12世紀
ほぼビザンチン時代に同じ
【ゴシック】 13世紀
ほぼビザンチン時代に同じ
【ルネッサンス】 14世紀から15世紀
ほぼビザンチン時代に同じ
【バロック】 16世紀から17世紀
この時代になって白(white)の結婚衣裳=ウエディングドレスが用いられるようになり、
その「白い」ということがステイタスシンボルとされた。
なぜなら白いドレスは、たった一度しか使用されない衣装を所有するのに充分な財力があることを示していたからである。
一方で白は当時のファッショナブルカラーでもあった。
その理由の一つは当時、古代ローマの遺跡の発掘が行われて、そこから古代の衣装が発見され、
それは色あせてはいたが本来は純白だったと考えられたからだった。
しかしそれは現在となっては間違いで実際はサフラン色(黄色)だったのである。
さらに白がファッショナブルカラーになったもう一つの理由は、いわゆるロイヤルウエディングの影響がある。
当時の皇族たちの結婚式に白または銀色の衣装が用いられていた。
当時、布地のほとんどは色に染められていて、そのような純白の布地を手に入れるのは難しく、
当時高価なものでもあり、ステイタスシンボルにもなったのである。
高価な白い布地で作られたウエディングドレスを当時の皇族たちが華やかなロイヤルウエディングの場に身につけて、
一般民衆の前に現れたことからたちまち白いドレスが人気を得るようになった。
しかし、ヴェールは使わず、キャップやボンネットなどの帽子にレースの飾りをつけて使用していた。
【ロココ】 18世紀
ほぼバロック時代に同じ
【クラシック】 18世紀後半から19世紀前半
ほぼバロック時代に同じ
【ロマンチック】 19世紀
19世紀の頃までは結婚衣裳は、イブニングドレスと同様にデコルテ(decollte)のネックラインであったが、
その後ネックラインは首元までつまって、袖も長袖になり、肌を覆うようになった。
それというのも19世紀中頃ヴィクトリア女王時代(1817〜1910)は
慎重(discretion)で謙虚(modesty)なことが大切であるというしきたりのために
肌を人前に見せないスタイルがいいとされていた。
伝統的で長い歴史的な年月の間に確立されてきたように思われているウエディングドレスについてのしきたりは、
このヴィクトリア女王時代に創り出されたもので、要はそんなに昔のことではない。
純白のウエディングドレスを着ることは、花嫁が処女であることを意味するという考え方も
この時代に生まれたものである。
またヴェールがこの時代になってやっと使われるようになる。
このような19世紀の頃に作られた結婚衣裳のしきたりが、それぞれの国において定着し、現代に至っている。
厳粛な教会での結婚という儀式に臨むための服装として、以下のような特徴がある。
●純白(清楚なイメージ)
●長袖(半袖の場合はボレロやケープ)
●肌の露出の少ないもの(胸が開いていない、襟がつまっている)
●トレーンを引くもの (トレーンは長いほど格調高い。)
●ベール(ドレスの長さに合わせる)
●手袋や靴は白で統一
●白のブーケ
またこれ以降、生活水準の向上と共に一般人も白のウエディングドレスを着用するようになった。
さらに20世紀にはいるとドレスのデザインもファッションの流行に伴い変化していった。
【アールヌーボー】 1890年代から20世紀はじめ
型はワンピース仕立てで丈が長く、床にトレーンをひくのが普通とされる。
流行により、床までのものや床よりやや短め、または最近は膝まであるいはミニスカートのものまである。
アクセサリー類は真珠またはダイヤの首飾りなどが用いられることがある。
靴は白またはサテンかドレスと共のもの、手袋も白が使われる。手には白のブーケ(花束)を持つ。
【アールデコ】 1920年代から1930年
ほぼアールヌーボーにおなじ
これ以降現代までほぼ同じである。