『薔薇の名前』の余韻が冷めやまぬうちに、お次は『バウドリーノ』を読んでみた。 ふたつで一つの表紙が素敵! 本作の舞台は『薔薇の名前』と同じく中世ヨーロッパ。しかし北イタリア修道院の閉ざされた巨壁の中ではなく、より広域な、しかし荒唐無稽な世界へと誘ってくれる。 大海原のような過酷な場面もあるが、どこかユーモアがこぼれ落ちているところもエーコらしい。 なにより著者自身が楽しんで書いたということがよくわかる作品だ。 主人公バウドリーノは少年期、優れた言語力を認められ、皇帝フリードリヒの養子になる。そこから50歳を迎える頃までの、彼の成長物語であり、冒険ミステリであり、聖杯探求であるともいえるが、もし…