サングラス姿の彼がパドック中央に歩みを進める姿を見て、なんとも言えない感情が沸き起こった。ジャパンカップのパドックでのこと。「彼」とは愛国のエイダン・オブライエン調教師、その人である。いまや世界ナンバーワンの調教師と言っても差し支えあるまい。その姿が東京競馬場にあることが、にわかに信じられなかった。 彼の来日はちょっとした国際ニュースである。これまでの彼は日本への遠征に積極的とは言えなかった。これまでジャパンカップに出走させた管理馬は6頭のみ。古い順にパワーズコート(10着)、ジョシュアツリー(10着)、アイダホ(5着)、カプリ(11着)、ジャパン(8着)とブルーム(11着)と成績もいまひとつ…