昭和53年 (1978) 以来45年間、私のライフワークは「農家を育てる」だった。若いころはその自覚が希薄であちこちへと迷い、不見識がゆえの徒労もあったが、不惑の少し前あたりから目的意識は固まったように思う。 この間、私の身近で農を学びに足を運ぶ人々は、その大多数が農業とくらしを一体として考える「家族農業」スタイルを求めていた。私の想いがそこにあったから反映された、というのではない。農に希望を見出そうとする人々の多くが「家族とともに農的くらしができる」農家、そういう農民になることをめざしていたのだ。そうした人々の想いは正当だった。 国連「家族農業の10年 (2019~2028)」プロジェクトが…