(本書の犯人、トリックを明らかにしているうえに、「クリスマスと人形」、「七月の雪つぶて」の真相、他にアガサ・クリスティと横溝正史の作品のアイディアに言及しています。) (表題を変更しました。) 飛び切りの異色作、というのが『帝王死す』(1952年)[i]に与えられた一般的評価と言ってよいだろう。この後、『盤面の敵』(1963年)だとか、『第八の日』(1964年)だとか、とんでもない作品が陸続と現れるので、すっかり目立たなくなったが、本書が異色作であり、それ以上に、「怪作」であることは間違いない。 世界有数の大富豪が支配する孤島に招かれたエラリイとクイーン警視が、不可能犯罪の謎に挑戦するという内…