監督・脚本を務めるポール・シュレイダーの最新作「カード・カウンター」は、タイトルから連想される通り、「ハスラー」や「シンシナティ・キッド」(劇中の台詞で両者に言及される場面あり)の系譜に連なるギャンブラーものだが、それらとやや趣を異にするのは、カード賭博の話と並行して、戦争犯罪にまつわる復讐劇が展開される点だろう。その2Ways構成は、大統領候補の暗殺とポン引きに搾取される家出少女の救出とが交差する「タクシードライバー」(シュレイダー脚本)に通じてもいる さすらいの賭博師が切った張ったでカジノを渡り歩くだけの単純なドラマに留めず、そこに社会的な視点を加味したアイデアは、如何にもシュレイダーらし…