妻がいつも言う。「傘はもう少しどうにか楽で便利な物にならぬものか」たしかに。 せいぜい自動で開くとか軽量化されたとか、その程度の進化でしかない。何千年も、根本的に変わらないものではないか。しかも、機能的には風でひっくり返ってしまったり、簡単に折れたり、横風で結局のところ雨に濡れたり、畳んでも濡れたままで扱いに困ったり。その中でももっともどうにかならないか、というのが、片手が塞がるという点である。 率先して雨宿りするユク坊。 今でこそ、改札は時計やスマートフォンで通ることができるが、かつては財布を取り出し、切符を買い、それを駅員さんに渡し、ハサミを入れてもらう、というようなことをしていた。ハサミ…