2024年のベネチア映画祭が9月7日に幕を閉じた。かつては話題作の数でカンヌ映画祭の後塵を拝したこともあったベネチアだけれども、近年では米アカデミー賞に向けた前哨戦の皮切りを果たす映画祭として存在感を増している。『ラ・ラ・ランド』(16)、『ジョーカー』(19)、『ノマドランド』(20)といった作品はベネチアでワールドプレミアされ、そのまま翌年春のアカデミー賞まで評価と勢いを継続させた例だ。ベネチアの作品に注目することで、その年の後半の話題作が見つかる構図になっている。 とはいえ、もちろんアカデミー賞を狙う華やかな作品ばかりを集めているわけではなく、個性的な監督による作品の紹介や、新鋭の発掘に…