夏季オリンピックにおけるサッカー競技。
男子は1932年のロサンゼルスオリンピック以外毎回実施されている。女子サッカーについては1996年のアトランタオリンピックから正式種目となった。
かつて国際オリンピック委員会(IOC)は、オリンピックへのプロ選手の参加を認めておらず、アマチュア選手のみが出場していたが、1984年のロサンゼルスオリンピックからプロ選手の参加を容認した(オリンピックの商業化)。サッカーの集客力を利用したいIOCとFIFAワールドカップを最高峰の大会と位置付けたい国際サッカー連盟(FIFA)との対立が起きたが、結局ロサンゼルス五輪は、欧州と南米の代表チームはFIFAワールドカップ出場経験のあるサッカー選手は参加できないという条件付きでプロ選手の参加が認められた。そして、1992年のバルセロナオリンピックから出場資格を23歳以下の選手に限定する制約が設けられ、1996年のアトランタオリンピックから24歳以上の選手を3人まで登録できるオーバーエイジの制度が導入された。
多くの競技にとってオリンピックは最高峰の舞台であるが、オリンピックサッカー競技は上記のような経緯から実質的に年齢別選手権として実施されているため、FIFAワールドカップや夏季五輪と同年に行われるUEFA欧州選手権と比べて(世界的な)注目度や権威は低い。一方で女子は出場資格に年齢制限はなく、FIFA女子ワールドカップと同等以上の大会に位置づけられている。
FIFAワールドカップ等と同様、各大陸別に出場枠が設定され、各大陸サッカー連盟の管轄のもとに予選が行われる。欧州サッカー連盟(UEFA)は夏季五輪前年に行われるUEFA U-21欧州選手権に予選を兼ねさせている。なお、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの英国4協会の代表チームはUEFA U-21欧州選手権で好成績を収めても出場権は与えられず、下位の代表チームが繰り上がりで出場権を獲得することになる。2012年のロンドンオリンピックでは、ホスト国としてイギリス代表を組織したが、参加したのはイングランドとウェールズの2協会の選手のみで、スコットランドと北アイルランドの2協会の選手は選出されなかった*1。
サッカー日本代表は1964年のメキシコシティオリンピックで銅メダルを獲得した。2012年のロンドンオリンピックでは、サッカー日本女子代表(なでしこジャパン)が銀メダルに輝いた。
年 | 開催地 | 優勝 | 準優勝 | 3位 | 日本の成績 |
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1908年 | ロンドン | イギリス | デンマーク | オランダ | 不参加 |
1912年 | ストックホルム | イギリス | デンマーク | オランダ | 不参加 |
1920年 | アントワープ | ベルギー | スペイン | オランダ | 不参加 |
1924年 | パリ | ウルグアイ | スイス | スウェーデン | 不参加 |
1928年 | アムステルダム | ウルグアイ | アルゼンチン | イタリア | 不参加 |
1932年 | ロサンゼルス | 開催されず | |||
1936年 | ベルリン | イタリア | オーストリア | ノルウェー | ベスト8 |
1948年 | ロンドン | スウェーデン | ユーゴスラビア | デンマーク | 不参加 |
1952年 | ヘルシンキ | ハンガリー | ユーゴスラビア | スウェーデン | 不参加 |
1956年 | メルボルン | ソビエト連邦 | ユーゴスラビア | ブルガリア | 1回戦敗退 |
1960年 | ローマ | ユーゴスラビア | デンマーク | ハンガリー | 予選敗退 |
1964年 | 東京 | ハンガリー | チェコスロバキア | ドイツ | ベスト8 |
1968年 | メキシコシティ | ハンガリー | ブルガリア | 日本 | 銅メダル |
1972年 | ミュンヘン | ポーランド | ハンガリー | ソビエト連邦 東ドイツ |
予選敗退 |
1976年 | モントリオール | 東ドイツ | ポーランド | ソビエト連邦 | 予選敗退 |
1980年 | モスクワ | チェコスロバキア | 東ドイツ | ソビエト連邦 | 予選敗退 |
1984年 | ロサンゼルス | フランス | ブラジル | ユーゴスラビア | 予選敗退 |
1988年 | ソウル | ソビエト連邦 | ブラジル | 西ドイツ | 予選敗退 |
1992年 | バルセロナ | スペイン | ポーランド | ガーナ | 予選敗退 |
1996年 | アトランタ | ナイジェリア | アルゼンチン | ブラジル | GL敗退 |
2000年 | シドニー | カメルーン | スペイン | チリ | ベスト8 |
2004年 | アテネ | アルゼンチン | パラグアイ | イタリア | GL敗退 |
2008年 | 北京 | アルゼンチン | ナイジェリア | ブラジル | GL敗退 |
2012年 | ロンドン | メキシコ | ブラジル | 韓国 | 4位 |
年 | 開催地 | 優勝 | 準優勝 | 3位 | 日本の成績 |
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1996年 | アトランタ | アメリカ合衆国 | 中国 | ノルウェー | GL敗退 |
2000年 | シドニー | ノルウェー | アメリカ合衆国 | ドイツ | 予選敗退 |
2004年 | アテネ | アメリカ合衆国 | ブラジル | ドイツ | ベスト8 |
2008年 | 北京 | アメリカ合衆国 | ブラジル | ドイツ | 4位 |
2012年 | ロンドン | アメリカ合衆国 | 日本 | カナダ | 銀メダル |
*1:イギリス女子代表は、イングランドとスコットランドの選手から選出。