カズオ・イシグロ

ランキング参加中【公式】2024年開設ブログ ランキング参加中雑談・日記を書きたい人のグループ こんにちは、けぴです。 今回は、1952年の黒澤明監督の名作「生きる」のリメイク版である「生きるLIVING」をご紹介します。 「生きるLIVING」は2022年製作の英国版の作品です。 脚本がノーベル賞作家のカズオ・イシグロであることでも話題になったことで、記憶している方も多いでしょう。 youtu.be 「生きるLIVING」は、若い方よりも年齢を重ねた方の方が共感できる映画かと思いました。 私もそうですが人生後半の方！ちょっとした瞬間「自分の人生、このまま終わっていいのだろうか」とふと立ち止ま…

2023年8月号掲載 毎日新聞契約記者／藤原章生 「お父さん、過去に囚われてるんじゃないの。ノスタルジーはダメだよ」。ロサンゼルスから一時帰国している娘にそう言われた。「カズオ・イシグロが書いているのはずっとそのことなんだよね。過去に囚われている人の話」 大作家を引き合いにしてくれるなんて、いいじゃないか。でも、イシグロはそれをわかってやっている。彼は、過去に囚われている人を対象にしているのであって、彼自身が囚われているわけではない。 一方の私は、イシグロの主人公たちのように、過去に、アフリカに囚われているということだ。「次は何をするの？」と聞かれ「秋からしばらくアフリカに行こうと思う」と答え…

日英合作映画の主演が決まった広瀬すず 女優の広瀬すず（２６）が２０２５年夏に公開される日英合作映画「遠い山なみの光」に主演することが２２日、分かった。 第２次世界大戦後間もない１９５０年代の日本と８０年代の英国を舞台に、時代と国境を超え、交錯する“記憶”の秘密をひもとくヒューマンミステリー。原作は英国のノーベル文学賞作家・カズオ・イシグロ氏（６９）の長編小説デビュー作で、映画「ある男」で昨年の日本アカデミー賞最優秀作品賞を含む８部門を受賞した石川慶監督（４７）がメガホンを取る。 広瀬が演じるのは長崎で原爆を経験し、戦後英国へ移り住んだが、夫と長女を亡くし、郊外で１人暮らしを送る主人公・悦子。そ…

カズオ・イシグロに『夜想曲集』という短編集があって、副題が「音楽と夕暮れをめぐる五つの物語」となっています。その名のとおり、なにがしか「音楽」の要素が物語にからんでいてそれは分かりやすいのですが、「夕暮れ」のほうはもう少し読み込まないとその味わいが立ち上がってきません。 夜想曲集：音楽と夕暮れをめぐる五つの物語それは終わりかかった愛であったり、かなえられなかった夢であったり……人によって夕暮れに託すイメージはさまざまだと思いますが、私はやはり自分の歳を考えると人生の黄昏時というイメージがもっとも心に響きます。そういえば『日の名残り』にしても、「夕方が一日でいちばんいい時間なんだ」というあの男の…

イングランドの最西端、コーンウォール州は「独自の文化や言語、帰属意識を持った地域であり、イングランドの他の地域とは趣を異にしている（Wikipedia）」のだそうです。その独自性を誇るかのように、黒地に白十字というコーンウォールの旗をあちこちで見かけました。『日の名残り』のスティーブンスは、コーンウォール州のリトル・コンプトンという街でミス・ケントンと再会します。この街も架空のようですが、実はイングランド中央部のコッツウォルズに同名の村があって、道端に村名を表す標識が現れたときはちょっと興奮して、わざわざ車を降りて写真まで撮りました。でもここは本当に小さな小さな田舎の村で、スティーブンスとミス…

イングランド南西部への自動車旅行、その三日目にスティーブンスはデボン州タビストック近郊の個人宅に泊めてもらうことになります。ガソリン切れというアクシデントに見舞われて絶望しかかったところ、偶然近くの村に住むテイラーという親切な男に出会い、「うちにお泊まりくださってかまいませんよ」という好意に甘えることにしたのです。この三日目の夜に回想の形で語られる過去の出来事は、どれもスティーブンスに取っては苦渋の記憶です。ダーリントン卿の反ユダヤ主義に対する態度、ひそかに思慕を寄せ今回の旅の動機にもなっているミス・ケントンとのやりとり。それらのディテールが紡がれながらその実、ひとつひとつのエピソードがこの小…

スティーブンスは旅の二日目から三日目にかけて、サマセット州トーントンに立ち寄っています。あ、スティーブンスというのは、カズオ・イシグロの小説『日の名残り』の主人公で、ご主人様から休暇をもらい、さらにご主人様の立派なフォードまで貸してもらって、イングランド南西部への旅をしているのです。彼がトーントン郊外の宿に一泊した際、「一人で部屋にいることも飽き」たので階下のバーに行ってみたところ、一杯やっていた地元の農夫たちに話しかけられます。そこでここのところ「ジョークや冗談の技術」について涙ぐましいほどの努力を重ねてきたにもかかわらず、スベってしまうというくだりは、なんだか身につまされるような思いがしま…

今日で9月が終わる。早い。 いつでも月初は仕事が立て込むので憂鬱。 働きたくないなあって気持ち。 昨日の朝の絶望的な気持ちは夜になるにつれて少しずつ薄れた。 完全に解消したわけではないけれど、布団から出られるようにはなった。 体はまだまだ重い。頭もぼーっとしている。ぜんぶが面倒くさいのも同じ。 本調子ではない。でも仕事にはギリギリ行けそう。 今日はお休みだったので自立支援医療の申請に行った。 何年か前までがっつりお世話になっていたのが、調子がよくなって通院自体をやめていた間に期限が切れた。 で最近ADHDの薬を試したいと思って通院を再開したら薬代がバカ高かったのでやっぱり申請することに（2週間…

まだまだ暑い日が続きますが、朝晩、ふと涼しい風とともに、 秋の気配を感じる瞬間が増えてきました。 秋と言えば、読書の秋！ 豊かな読書の秋を過ごすために、本との出会いを提供してくれるブックガイドをご紹介します♪ こんな人におすすめ 何を読んだらいいか分からない方 新しい本との出会いを求めている方 とにかく本が読みたい方 本へのとびら（宮崎駿） 内容紹介 おすすめポイント BOOK BAR ：お好みの本、あります。(杏、大倉眞一郎) 内容紹介 おすすめポイント ご本、出しときますね？ (BSジャパン、若林正恭他) 内容紹介 おすすめポイント まとめ 本へのとびら（宮崎駿） (function(b,…

結構以前に「私を離さないで」を読んでそのあとどこかで「カズオ・イシグロの小説は作品ごとにかなりスタイルが異なる」というのを読んで興味を持ったままずっとそのままだった。もはやどんな感想を持ったのかも定かではない。終盤で臓器もとられて「この人すっかすかなんだな、今」と思った気もする。私が読んだのは日本でドラマ化される前だった。水川あさみが出ていたのである。もちろんドラマはほとんど見なかった。同じイギリスが舞台のせいかそういえばハリー・ポッターの雰囲気が似てるな、とも思う。もちろんハリー・ポッターも読んだことはない。映画もあまり見たことはないが私の子供が好きなので脇で眺めたりする機会はあった。始めか…

引用元：moviewalker.jp ストーリー・解説 登場人物・キャスト 感想 予告 ストーリー・解説 「ミッドサマー」「ヘレディタリー 継承」の鬼才アリ・アスター監督と「ジョーカー」「ナポレオン」の名優ホアキン・フェニックスがタッグを組み、怪死した母のもとへ帰省しようとした男が奇想天外な旅に巻き込まれていく姿を描いたスリラー。 日常のささいなことでも不安になってしまう怖がりの男ボーは、つい先ほどまで電話で会話していた母が突然、怪死したことを知る。母のもとへ駆けつけようとアパートの玄関を出ると、そこはもう“いつもの日常”ではなかった。その後も奇妙で予想外な出来事が次々と起こり、現実なのか妄想…

R読書会 2024.09.21【テキスト】『本物の読書家』乗代雄介（講談社文庫）【参加人数】7名※オンラインでなく対面形式でした。 ＜推薦の理由（参加者A）＞◆著者は現在（2024年9月時点）で38歳。2015年に29歳でデビューして以来、数々の賞を受賞してきた。芥川賞候補に4回挙がり、昨年（2023年）には芸術選奨文部科学大臣賞を受賞した。『本物の読書家』所収の2編は、これからまたどんどん書いていくだろう作家の初期の作品（「本物の読書家」2016年、「未熟な同感者」2017年）。◆著者には、しっかりした文章力と豊富な語彙力がある。◆「本物の読書家」、「未熟な同感者」からは、書くことと読むこと…

はじめに 人生の岐路に立ったとき、あなたは何を選びますか？義務か、それとも個人の幸福か。カズオ・イシグロの傑作『日の名残り』は、この永遠のジレンマに挑む物語です。1989年にブッカー賞を受賞したこの小説は、単なる執事の回顧録ではありません。それは、人間の記憶、後悔、そして自己欺瞞の複雑な織物なのです。 本作は、第二次世界大戦後のイギリス社会を背景に、一人の執事が自身の人生を振り返る姿を通じて、私たちに深遠な問いを投げかけます。何が本当の「品格」なのか、義務と個人の幸福はどう両立させるべきか、そして人生の終わりに近づいたとき、私たちは自分の選択をどう評価するのか。 この記事では、『日の名残り』の…

この作者固有の世界観やらは相変わらず良くて、2巻まではそういう方向で十分エネルギーを持って読めた。 自分にない感性に触れるだけで、自分が持っていない類の活力を得ることが出来る。私にとって、小説を読むことの目的は8割以上これだ。科学的・工学的な知見を獲得することが目的になるわけもない。 そういうのが今回も十二分に吸収できているので、読書の目的はおおよそ達成されている。とはいえ、個人的にはそこに「ケチをつけ」（あるいは「論評せ」）ずにはいられない。感性の吸収にはそういうのが要ると感じる。というわけで、この文章の後半はケチをつけることに費やされる。 ストーリーについては3巻でぐっと魅力が下がった。描…

ここ数日ほど「人生を見つけるためには、人生を浪費しなければならない」と翻訳された言葉がほんとうにアン・モロー・リンドバーグの意図に沿ったものだったのかどうか……について追いかけてきました。けっきょく確たるところは分からなかったのですが、なんとなく俗耳に入りやすい「名言」として、ご本人の意図しない形で普及してしまったのではないかという感慨を私は抱きました。それはさておき、実は私が『海からの贈物』でより心に響いたのはこちらの部分でした。 中年というのは、野心の貝殻や、各種の物質的な蓄積の貝殻や、自我の貝殻など、いろいろな貝殻を捨てる時期であるとも考えられる。この段階に達して、我々は浜辺での生活と同…

今週のお題「好きな小説」 わたしはここ数年小説をあまり読んでいません。でも書いてみます。 どちらかといえば物語的、寓話的、非現実的な小説が好きです。 しんしんと降り積もる雪の中に閉じ込められるような、ぽんと置き去りにされるようなタイプのものが好みです。余韻大好きです。SF、翻訳物も好きです。 文体では、透明感がある、湿度が高い、叙情的な文体が好きです。翻訳物特有の文体も好きです。どういうものかと言われると困るんですが、やはり違う言語を翻訳しているので真摯で理知的なように思います。 歌うような、言葉遊びのような、詩のような、迷宮のような美しさのあるものが好きです。いっぽうで明晰な文体も好きです。…