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カセットコンロ

(一般)
かせっとこんろ

カセットコンロ(カセット焜炉)とは、都市ガスやプロパンガス(LPG)などの可燃性の気体を燃料とする焜炉。安定した火力で調理する際に威力を発揮する。その一方で小型の物は常温下では安定した火力が簡単に得やすいことから、沸点が高くカートリッジの耐圧製が低くできるブタン(ガスライターの燃料)や混合ガスを充填したカートリッジを使用する。近年災害時のガス供給停止時の防災用品としても見直されている。
プロパンや都市ガスなどを使用する据え置きタイプの物は、火力の調節が楽で、炒め物などの高温を必要とする調理から、煮物などの弱火を長時間用いる調理にまで、幅広く用いることが可能である。簡易式のカートリッジボンベを使うタイプでも、他の移動式焜炉より点火が簡便で、また高温も得やすい。
設置された状態や追加機能により呼び分けることもある。ガステーブルはガス栓からガスホースにより接続された移動が容易な焜炉をさす。システムキッチンとして組み込まれた(ガス焜炉の上面と手前操作部のみ露出)状態で固定されたものはビルトイン焜炉と呼ばれる。焜炉手前に組み込まれたグリル機能のある焜炉をガスレンジと呼ぶ。上位機種として焜炉台にあたる部分にガスオーブンレンジを組み込んだものもある。なお、大型鍋用あるいは業務用に用いられる本体が鋳物でできた鋳物コンロ(ハイカロリーコンロ)と呼ばれるものもある。
燃料とするガス種類は大きく分けて、メタンを主成分とする天然ガスと、高圧下で液体にしてタンクに貯蔵してあるプロパン・ブタンを主成分とする液化石油ガスがある。ガス種にあう焜炉を用いないと適切な燃焼状態を確保することが困難である。部品交換により燃料転換修理も可能な焜炉も少なくないが、意外と料金がかかる場合がある。
問題点としては、屋内使用では燃焼による酸素消費があるため、換気が適切でない室内において燃焼を継続すると、不完全燃焼による一酸化炭素を発生させ一酸化炭素中毒による事故となる。テントのような屋外に設置する簡易な住居においても換気が不適切である場合、同様な事故が生じる。これは燃焼加熱式共通の問題である。また、一定濃度で大気と混合している状態にて点火すると、爆発的燃焼を起こす。爆発燃焼事故を未然に防ぐ為、爆発限界に達する前に嗅覚またはガス漏れ検知器等(メタン等のガス主成分に反応)にて容易に発見するために家庭用ガスには付臭することが法で定められていることや、ガス機器や配管損傷を主とする大量の漏れに対しては、ガスメーターの安全装置及びヒューズガス栓が作動しガス供給遮断される等の対策が施されている。焜炉での事故は誤使用に起因することが多く、安全保護機能を備え付けられたガス焜炉の普及により減少傾向となった。
この他、温度や気圧で揮発・膨張率に大きな差が生じる事から、液化ガスをボンベに入れて用いるLPG・卓上カセットガス焜炉及びキャンプ用のガス焜炉は、寒冷地や高山地帯における使用に支障をきたすことがある。そのため、一般的にカセットガスやガスカートリッジにはブタンが充填されるところ、冬季用ではより沸点の低いイソブタン又はプロパンも混入されている。もし冬季用にプロパン100%のカートリッジがあれば便利とも思われるが、プロパンは膨張する圧力が大きく耐圧性が求められるため、相当重量のあるカートリッジになってしまって実用的でないことから商品化はされていないようである。
日本の卓上カセットガス焜炉は、1969年に岩谷産業で業界で初めて開発された卓上カセットコンロ「イワタニホースノン・カセットフー」であり、コンセプトの「ホースがなく持ち運びに便利」が話題を呼び大ヒット商品となった。その後数社から同様の商品が発売され、1991年7月1日に日本工業規格「カセットこんろ(JIS S S2147)」「カセットこんろ用燃料容器(JIS S S2148)」が制定されていたが、ボンベのサイズや構成部品が厳密には規定されておらず、メーカーの異なるカセットコンロ・ボンベの互換性は完全ではなく数種類あった。しかし、1995年に阪神・淡路大震災が発生し、被災者間においてカセットボンベの貸し借りができない場合があり、メーカー側に疑問が呈されたり、規格統一の必要性が認識された。これを教訓として1998年2月20日に日本工業規格「カセットこんろ(JIS S S2147)」「カセットこんろ用燃料容器(JIS S S2148)」の改正が行われ、ボンベの形状が一種類に規定された。ただし、この規格は他メーカー間のコンロとボンベの互換性を保障するものではない(規格変更、製品製造終了後もメーカーは旧式となった製品の燃料容器は暫くの期間供給を続ける、また燃料容器そのものの製造が終了しても流通在庫が存在するため暫くの期間旧製品用燃料容器の店頭販売が継続されるため注意が必要)。業界団体においては指定外ボンベ(燃料容器)を使用しない様注意喚起を行っている。また、カセットこんろ用燃料容器に形状が類似たLPG燃料容器が流通しているため、誤ってカセットガス焜炉に使用しない様、注意が必要である。カセットガス焜炉は使用が手軽な分、誤った使用方法によりガスが漏れたり、五徳に載せた鉄板等がボンベ収容上部にはみ出すことによりボンベが過熱し爆発する事故も多いため、注意が必要である。なお、2011年2月28日現在「カセットこんろ用燃料容器(JIS S S2148)」の認証を受けている製品は存在しない。
現在の液化石油ガス自体には毒性はないが、液化石油ガスをそのまま吸引すると酸欠による中毒を起こす危険性がある。都市ガスの中には一酸化炭素を含むものもあるが、天然ガスに転換された地域では一酸化炭素は精製成分として含まれていない。
2000年代には、ガス焜炉でも調理器具を加熱する天板を拭き掃除しやすいようにガラスコートを施されたガラストップコンロが販売されている。これはIHクッキングヒーターの「上面が平らであり拭き掃除がしやすい」というメリットをガス焜炉にも導入したものである。従来の五徳が際立ったフッ素コーティングの焜炉より、デザイン性に優れ、掃除がしやすいなど利便性が向上している。この動きにより、ガス焜炉のデザイン史も大きく進化した。又業務用器具としては、IHクッキングヒーターのように天板が平らであるが加熱方式はガス燃焼式の焜炉もある。
近年、省エネの点でも改良が進み、熱効率が向上し調理時間がさらに早くなっている。炎の形状では、外炎式と内炎式がある。内炎式の場合、炎が内側に向くため、効率がよい。カセット焜炉であっても、内炎式の商品が製造されている。たとえばある内炎式のカセット焜炉は、72分間の持続時間がある。
意外な盲点として、カセット焜炉は五徳の長さが短い製品が多く、小型なべや鍋焼きセットの容器が五徳から外れ、ガス口に落ちてしまう場合もある。通販などでは五徳の寸法まではまず表記されていないので、アルミ鍋焼きをよく作る場合は、購入時に見本商品でチェックすることが望ましい。
2008年10月1日「ガス事業法」及び「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(液石法)」により「PSTG」または「PSLPG」マークを貼付していないガスこんろの販売、販売目的の陳列が禁止された。中古品等についても同規制を受けるので注意が必要。 また、「カセットこんろ」の名称が「カートリッジガスこんろ」に変更され、関係省庁等の公示文書等では変更された名称で表示されている

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