神奈川近代文学館で開催中の「帰って来た橋本治」展。 橋本治は1948年生まれ、2019年に亡くなっている。この文学館には「橋本文庫」がある。 橋本治の著書は今までに3冊読んでいる。『小林秀雄の恵み』(新潮社)では小林秀雄の代表作『本居宣長』を材料に、小林秀雄の正体を丁寧に薄皮を剥ぐように見せていく。神様・小林秀雄の間違いを指摘するという、恐れ多い仕事となった出色の小林秀雄論だ。その手腕はなみたいていの腕ではなかった。 『橋本治と内田樹』(筑摩書房)。同世代の二人の特異な書き手の考えていることや手の内がわかるのだが、橋本治の逆説的な、本質的な、独学的な言葉群に魅力があって、最後まで楽しくうなずき…