木下恵介『カルメン純情す』松竹, 1952テレビで木下恵介「劇場」とか「アワー」というのが毎週あって,見るかどうかは,タイトルで判断していました.全体的に,ホームドラマの印象があって戦中派むけの番組に思えたからすぐにみなくなりました.映画監督だと思っていませんでした.*** 『カルメン故郷に帰る』(1951)の続編として『カルメン純情す』を見ました.大自然にある故郷に帰ってきて,戦後の都会の影響を受けながらもつかのま人間性をとりもどししていくカルメンが描かれたのに対し,「純情す」は,都会で生きるカルメンたちの現実があります. 戦後の芸術,風俗と政治が直結した抽象的な都市にひとびとは暮らしていま…