(河原鳩、学名:Columba livia)
ハト目ハト科カワラバト属に属する鳥類の一種。本来ヨーロッパ、中央アジア、北アフリカなどの乾燥地帯に生息する鳥だったが、人に馴れやすいため家禽化され、食用や伝令用として利用されたほか、愛玩用の品種も多数作られた。日本にいつ渡来したかは定かではないが、一説には飛鳥時代、残存する記録では平安時代に「イエバト(鴿)」の語が見られ、「ヤマバト(鳩)」とは区別されていた。従って、今から1000年以上前に、すでに身近に存在していたものと考えられる。室町時代から「たうばと(塔鳩)」、これに加え、安土桃山時代には「だうばと(堂鳩)」と呼ばれ始めている。「ドバト(土鳩)」いう語が登場するのは、江戸時代である。カワラバトは学術的には日本の在来種(元来から生息していたネイティブな野鳥)ではない。このため、日本語のカワラバト・家鳩・塔鳩・堂鳩・ドバトという言葉の間の線引きは曖昧であり、歴史的に様々な呼び方がされて来たものの、学術的には同じ種である。
カワラバトは日本ではかつて狩猟対象だったが、伝書鳩を撃ってしまう危険性がある等の理由から、本種はその対象から外された経緯がある(飼鳥を射殺すると動物愛護法に触れる)。なお、日本でカワラバトの次によく見かけるキジバト(雉鳩)は現在でも狩猟対象である。