三木卓の本は、以前にも『蝶の小径』を紹介しましたが、今回は『昆虫のいる風景』集英社文庫・昭和59年9月刊です。この本は新潮社のPR誌『波』に2年ほど連載されたエッセイをまとめたものです。 この『昆虫のいる風景』 には、私が散歩で出会う、よく知っている昆虫たちがたくさん登場します。その昆虫たちの一つ一つの特徴や美しさをリアルに表現されています。 「ガガンボのさびしさ」の中で、路傍の草叢のいるガガンボを見て「ガガンボは女々しくさびしい。・・・」と。最後には「ガガンボが弱いなんていえようか。人間がほろびたって、ガガンボはいるにちがいない」と脆弱なガガンボの生命力の強さを讃えるなど、昆虫愛好家の気持ち…