ジョン・フォード監督『香も高きケンタッキー』(Kentucky Pride, 1925) が高画質で見られるなんて、これは夢だろうか。ちょうど蓮實重彥の『ショットとは何か』(2022) も出たところなので、この映画のたまに動くことはあっても基本はフィックスされたキャメラが捉える穏やかであってもスローモーションの弛緩しきった運動とはまったく異なる内に力動が込められた馬の運動や、馬の毛並みの艶から感じとれる再現行為を支える光そのものの美しさといった「単純であることの穏やかな魅力」*1としてのショットに視線を注ぎ、思いを馳せる絶好の機会である。以下に以前の記事の一部を再掲する。1983 年 6 月 …