清水晶子ほか『ポリティカル・コレクトネスからどこへ』(有斐閣、2022年)を読んでみましたが、結局、ポリティカル・コレクトネス(以下「ポリコレ」)やキャンセル・カルチャーについてほとんど理解できませんでした。この分野を研究している人たちは、答えのない問題を必死に解いているような状況ではないかという感想を私自身は持ちました。 様々な表現や発言に「社会的な望ましさ」を求めて解を探すわけですが、そんなものは存在しない、と言われたらそれまでです。いろいろ理屈を付けて論理的に議論を展開しているのはわかるのですが、かなり虚しさを感じます。 そもそも社会的な望ましさや、正しさでも何でもいいですが、時と場所が…