キュニコス

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(一般)
きゅにこす

犬儒学派。アンティステネス(BCE.445ca〜365ca)を祖とするギリシア哲学の一学派。この名は,アンティステネスが教鞭をとったアテナイ近郊のキュノサルゲスの地名,または,シノペのディオゲネスの“犬のような生活”をさげすんだ,あだ名「犬」に由来するといわれる。

この派のおもな人々は,アンティステネス,シノペのディオゲネス,テーベのクラテス,ヒッパルキア,メトロクレス,ビオンらで,前3世紀ごろが盛んだった。彼らは徳と哲学を尊重し,精神と肉体の鍛練によって世俗的な欲望や快楽を退け,自足自制で自然に従う簡素な生活をし,権力に束縛されぬ自由を求めた。

しかし,奇行で知られるアンティステネスが無欲のみを徳とする理想と忍耐と諦めによる哲学は,ともすると社会への諷刺や嘲笑が先行した。その後衰えたこの学派は,1〜2世紀道徳的に堕落したローマ時代に,デメトリオス,デモナクス,オイノマオスらにより復した。

「アンティステネスの一派は、飢えをしのぐに足るだけの食べ物と薄い着物だけを用い、富とか名声とか家柄とかは無視して、質素に暮らすべきだと考えている。とにかく彼らは、やしとただの冷たい水だけを口にし、行きずりに見つけた樽や遮蔽物をねぐらにしていた」(後期p6-15)

虚飾や社会的しがらみ、過大な欲望を苦しみの原因とみなし、裸の無欲な生活を理想としたが、そこから、そうした社会的慣習、道徳、世俗的欲望を冷笑する態度もあらわれることとなった。

関連語 シニシズム

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