ダニエル・バレンボイムの録音に初めて触れたのは指揮者としてではなくピアニストとしてだった。ただそれが何だったかはあまり覚えていない。ベートヴェンのピアノソナタだっただろうか。当時のLPレコードは手放してしまったし、あの頃はバックハウスやケンプなどのいわゆる大巨匠の演奏が好きだった。バレンボイムはリアルタイムだったが世代が少し新しく長老好きな自分の中ではなかなかお鉢が回らなかったのだろう。彼はその後シカゴ交響楽団の常任指揮者を長く務め、ベルリン・フィルからは名誉指揮者を称号されている。が自分にとっては指揮者の立ち位置としても同様で、自分が引き寄せられたのは2009年、彼が初登場したウィーン・フィ…