グローバルサウス

石油は黒人労働者を必要としたー歴史秘話２ 逃亡奴隷はアフリカの故郷と同じ家を作った ピーターはこの島の人種構成について説明を続ける。 ―ここの黒人は二種類だよ。アフリカから連れて来られた黒人、そして石油精製施設建設のために労働者として回りのカリブ海の島々から来た黒人。前からこの島の人種は、インディオ、ムラ―ト（白人とインディオの混血）、白人、中国人なんだよ。中国人もキュラソーの古い家に属するんだ。でも人種別では黒人が多い。子供をたくさん作るだけじゃなくて、石油精製施設の労働力として増えた。たとえば、ぼくの母親は白人とインディオの混血、父親は黒人なんだよ ―でも、PDVSA（ベネズエラ石油公社）…

英雄ー歴史秘話１ 奴隷解放の英雄は楔を断ち切ったのか？ Tulaの記念碑は海辺にあった。車が入れない小道なので、私はピーターを車内に残して独りで歩いた。海岸に出ると、巨大なクルーズ船が見えた。背後はマンゴルーブ林である。 まもなく行くと、鎖でつながれている黒人の像が３つと出会った。そのうちのひとりが鎖を断ち切るための金槌を振り上げ、一方の手で持った楔にそれを打ち降ろそうとしていた。 解放への闘い公園と名付けられ、２０００年９月にユネスコにより、平和のシンボルとして宣言されている。飛行機が上空を轟音を上げて通り過ぎる。私と奴隷3人に強い陽射しが打ち付けてくる。 しばしの間、私は南米大陸で出会った…

バレンティンと怒鳴り合う バレンティンの家は思いのほか質素で、むしろいい印象を受けた 家には「Wellcome home」と書かれた手製のステッカーとココのポスターが張られている。小さな平屋の家でむしろ私はいい印象を持った。バレンティンを含め南米の成功した野球選手は、フロリダに豪邸を建てて住んでいる。 車が立ち去ったので、そのあとに空いた敷地に車を進めると、バレンティンは驚いたように突然訪れた私たちのほうを見た。招かれざる客なのだろう。彼はその思いを隠さなかった。あきらかに「ほおっておいてくれ。もうたくさんなんだ」とその顔はいっていた。 月曜日にキュラソーに着いて以来、パレード、インタビュー、…

バレンティンの幼馴染と飲み明かす レストラン ZOYAの主人 ココは幼馴染さ 取材内容をパソコンに記載し、翌日の予定を決め、日没後街に出た。ホテルでサブウェイにカニ料理があると聞き及び、心身がはしゃいでいた。私は大の蟹好きだ。世界中の蟹を食べさせてもらっているが、今のところ子供の頃に食べていた毛蟹とサンフランシスコで食べたアラスカ蟹を凌駕する蟹様に出会ったことはない。キュラソーではロブスターには何度も出会ったが、蟹との邂逅はない。 クィーン・エマ橋周辺で、店を３０分近く探すが見つからない。そのかわり、ドラムの音に誘われて歩いてゆくと川沿いの広場でオランダ王と王妃の歓迎のコンサートが開かれていた…

本日は、BRICS諸国やグローバルサウスがアメリカに背を向ける理由について掘り下げていく。NEDやCIAの影響力、アメリカの戦争戦略と政権転覆の手法に焦点を当て、世界の勢力図がどのように変化しているのかを考察。 ■BRICSとグローバルサウスがアメリカに背を向ける理由 BRICS諸国やグローバルサウスの国々は、西側先進諸国と距離を置き、中国やロシアを中心に結集しようとしている。その理由は明白だ。世界の85%の人口を占める国々は、アメリカの一極集中支配の弊害にうんざりし、アメリカが「民主主義」の名のもとに世界中で繰り広げてきた戦争やカラー革命による混乱に嫌気がさしているのだ。 ■アメリカが引き起…

文春砲とココバレンティン そしてキュラソー歴史秘話 男女の仲は藪の中 今回、文春砲・渡辺渚ｖｓフジテレビ・中居正広の騒動を見聞きしていて、１０年前のココ・バレンティンに対する文春砲（妻への暴行疑い）のことを思い出した。あのときの文春の記事は一方的で内容はややお粗末で、私の原稿の雑誌への掲載が遅れるなど間接的な被害を被った。 今回の騒動に関しては、中居氏がよほどひどいことをしたのだろうと想像されるので、加害者と被害者という構図は変わらないだろう。フジテレビの超時代遅れな内実（＝もっとも業種を超えてこのような企業が日本には多くある）が浮き彫りになったし、その意味で示談があろうがなかろうが、やられた…

パタゴニアの風 Hotel Comercio の親切な主人と従業員 夕飯前の一時、私はホテルコメルシオの食堂のカウンターのスツールに座り、スミルノフウオッカのソーダ割りを飲んでいた。労務者たちはテーブル席に座ってテレビを見たり、ドミノをやりながら夕飯の合図を待っている。 テレビのブラウン管では、若い女性の演劇人が「我々は、日本人の言うところの魂をこの演劇で」などと話している。宿の主人が一部日本について詳しく「銀座の土地は、ここの数十万倍の値段だけど、一体どういうところに住んでいるんだい」と話しかけてくる。第二次世界大戦直後、戦中に食糧輸出で稼いだアルゼンチンは世界の一の黄金郷だったが、一九八八…