Ken Loach 1936年6月17日生まれ イギリス・ウォリックシャー出身 映画監督 社会の厳しい現実の中を生きる労働者・労働者階級達を一貫して描き続ける、イギリス映画界きっての巨匠。カンヌ国際映画祭、ヴェネチア国際映画祭、ベルリン国際映画祭、英国アカデミー賞、ヨーロッパ映画賞と、その受賞歴と彼の芸術的貢献に送られてきた賛辞には枚挙に暇が無い。監督業でだけでなく、実際にも労働者達の為に社会的な援助・擁護活動を行っている。
「ゆりかごから墓場まで」―。福祉国家としてのイギリスを象徴したとして有名な言葉です。映画『わたしは、ダニエル・ブレイク』は、そんな福祉国家イギリスの社会保障制度の闇を鋭く描き出した作品です。2016年に社会派の巨匠ケン・ローチ監督、ポール・ラヴァーティ脚本で製作されました。2014年にもう長編映画は撮らないことを宣言したケン・ローチがそれを撤回してまで描かずにはいられなかった、社会から取りこぼされてしまった人たちをさらに追い詰め、苦しめる、硬直した制度の問題点、人としての尊厳が奪われてしまう社会構造に光を当てた本作は、第69回カンヌ国際映画祭でパルム・ドール、第69回ロカルノ国際映画祭で観客賞…
アカデミー賞外国語映画賞を受賞した作品であり、フェデリコ・フェリーニ監督の代表作の一つといわれたり、ネオリアリズム映画であるとか、言われたりしている映画である。映画の冒頭で、主人公の少女ジェルソミーナは二束三文で、大道芸人のザンパノという男に売られてしまう、この男は、以前、ジェルソミーナの姉を、同じようにこの家族から、おそらくその時も二束三文と想像されるが、買っており、その姉が亡くなってしまったので、姉の代わりにジェルソミーナを買いに来た。フェリーニはさりげなく、あっさりと、さらりと映画の冒頭で描いているが、これは、人身売買ということであろう。あまりにも、さらりとこのシーンは描写されているので…
私は、ダニエル・ブレイク 出典 ダニエル・ブレイク 公式ページ 私は、ダニエル・ブレイク 作品情報 あらすじ 監督 キャスト 感想 老害って言ってしまってごめんなさい! 逆転人生を想像して 最後に 以前からAmazon Videoのアカウントのおすすめ」に 出ていた「わたしは、ダニエル・ブレイク」 表紙は静かで地味めで感動系。 2017年 1時間40分 イギリス映画 監督は「ケン・ローチ」 ケン・ローチといえば「社会的弱者」に視点を当てた作品を 多く手がけている反権力者。 今回の作品も「失業」した社会的弱者の主人公が追い詰められていくお話です。 レビューは高評価 星4.5レビュー数は現時点で2…
【映画】「わたしは、ダニエル・ブレイク」 【映画】「わたしは、ダニエル・ブレイク」 作品情報 キャスト あらすじ 感想 お役所仕事は万国共通語!? わたしは、ダニエル・ブレイク まとめ こんな人にオススめ!! 関連グッズ お世話になってる、動画配信サービス 作品情報 作品名 わたしは、ダニエル・ブレイク 公開日 2017年 上映時間 100分 監督 ケン・ローチ 主演 デイブ・ジョーンズ 配給 ロングライド キャスト ダニエル・ブレイク(デイヴ・ジョーンズ) ケイティ・モーガン(ヘイリー・スクワイアーズ) ディラン・モーガン(ディラン・マキアンナ) デイジー・モーガン(ブリアナ・シャン) あら…
貧困との闘いに立ち上がるイギリス労働者。『1945年の精神 (THE SPIRITOF '45)』(ケン・ローチ監督/2013年・イギリス) filmarks.com 1945年は、第二次世界大戦が終わった年です。イギリスでは、戦前戦中から労働者階級が深刻な貧困に喘いでいました。兵隊として働いていた労働者たちは、戦争が終わると今度は力を合わせて、貧困と闘います。『THE SPIRIT OF'45(1945年の精神)」は2013年イギリスで製作された、ケン・ローチ監督による映画です。■1930、行き過ぎた資本主義と貧困 30年代以降、イギリスの労働者の生活環境は劣悪でした。資本家は利益だけを追い…
ケン・ローチ監督のドキュメンタリー*1で、登場人物の自然な表情、その人らしさをひきだすことを大切に思っておられる話がでてきたが、この映画もまさに、16歳になろうとしている主人公や友人の表情のリアルなこと! 知恵で自分の道を切り拓いていくところは、抑制のきいた「スカ―・フェイス」であり「グッドフェローズ」であり・・・少年が現実突破を考えるところ、そして、そこに立ちはだかる壁の描き方に心をとらえられる。いってみれば監督の「ケス」*2でも「わたしは、ダニエル・ブレイク」*3でも、この構図があり・・みていて気持ちを持っていかれる。 友人のピンボールが車を乗り回すシーンの、最初の「魔笛」の夜の女王のアリ…
「RIFF-RAFF」とは労働者階級のことらしい。刑務所から出所したばかりで、建設現場で働くことになる青年をロバート・カーライルが演じている。刑務所帰りといったって強面とかではなく、繊細ですぐそこにいるような共感できる質感。労働環境の悪さはかなりなものだった。サッチャー政権時代のロンドンの状況を肌で感じたりもした。けれど悲惨な感じの映画ではない。劣悪な環境の中でも小さな喜びをみつけて淡々と現実を生きている感じの作品。お芝居臭くないところがよいところ。リフ・ラフ(字幕版)発売日: 2014/12/01メディア: Prime VideoみたのはVHS版
テレンス・スタンプ出演の「イギリスから来た男」*1に、若き彼が出演のこの映画の一場面が出てくるとのことで、みてみた。原題は「Poor Cow」。若年失業率の高そうな60年代後半のイギリス。泥棒でもするしかないかのような男と結婚し、男が投獄され、子供をかかえてなんとかやっていくしかないじゃないの、という若い女の子の物語。ドラマチックな展開なしに、独白形式でエピソードが積み重ねられ好感を持つ。夫の仲間ではあるけれど、夫とはずいぶん違う優しさを持つテレンス・スタンプとのひとときはとても楽しげで美しい。ドノヴァンのフォーク調の音楽がまた良くて。テレンス・スタンプ、こんな役もしているのだなあ。困窮した社…
こちらの記事を拝見していて、「ザ・ロイヤル・テネンバウム」にも影響を与えている「ケス」とはどういう映画なのだろう?と思いみてみた。 イギリス映画らしい苦味。イラン映画の「友だちのうちはどこ?」級の先生の厳しさ。こちらの方はその振る舞いが尊敬に値しない感じだから尚悪い。主人公の少年の置かれている苦境は多分当時のイギリスの若者が置かれていた状況を描いてもいて、調子のいい展開をしない。変に盛り上げずに、どんづまりの中でも、少年が卑屈にならず、自分の道をゆく姿を、音楽などであおることなく、ドキュメンタリーのように描いていて、とても好感を持った。ケス【字幕版】 [VHS]発売日: 1998/11/01メ…
昨日、YouTubeでH ZETTRIOのライヴ配信を観た。相変わらず魅せられるわ~♪ yuraneco.com 前回の札幌ライヴからもうすぐ1年半、今年もまだお預けだろうなぁ。それでもこうして定期的にライヴ配信してくれるのが嬉しい。次回、2ヵ月後が楽しみ♪ この曲 ♪負けるなチャンプはイントロがすっごくカッコいい。センスの塊、しかもオシャレで可愛らしくて大好き! バックで繰り返されるピアノのリフの感じ…Velvet Undergroumdの ♪What Goes on をちょっとだけ彷彿とさせる。、このライヴ・ヴァージョンの ♪What Goes on がすっごく好き。バンドでカヴァーしたり…
迫りくるアカデミー賞候補作だし、原作のほうが映画より悲惨という情報も入ってきて、気になったので映画館いってきました。実名でアマゾンやウォルドラッグ(ウォルマート経営のドラッグストアかな)が登場し、ロケまでやらせてもらってる映画の限界という気もする。 早期半隠居して、この先の生活費をどう抑えていくかで頭がいっぱいで、田舎へ移住か、キャンピングカーを買うか、など真剣に考えている私としてはヤケにタイムリーで気になるテーマです。日本には「わびしいトレーラーハウス暮らし」という層がないので、若者たちの夢の旅みたいなイメージが強いけど、老後の車上生活の現実を見せつけられた感じが強いです。 日本は可愛い女子…
●概要 ●海外勢627名 ●日本勢330名 ●概要 現在960名分のリストを掲載。 映画監督、プロデューサー、脚本家、キャメラマン、美術、アニメーター、作曲家、俳優、小説家、漫画家、TVドラマといった映画製作に関わる面々が影響を受けた作品リストをまとめたリンク集。 各雑誌や映画祭・ネットの企画で映画監督たちが選ぶ・選んだ、インタビューや著書で言及されたもの等々片っ端から搔き集めてあります。 →「国別」 未個別化は「映画人が影響を受けた映画(一覧)」、 それ以外の作家は「その他作家・クリエイターのベスト」へ ※参照:「“まとめ”製作にあたって」 ●海外勢627名 クリストファー・ノーラン…2 サ…
3.2/5.0点 ・ケン・ローチ監督の作品は初めてだったが、これほどまでに実存に即した映画を撮るとは、正直衝撃的だ。 ・見るに耐えないシーンが多く、途中で断念しようと思ったほど、リアリズムが追求されている。フードバンクでトマト缶(?)を開けてながらフラフラとするシーンや、求職活動の証拠が無いと手当を止められ、無言で立ち去るシーン等、思わず目を背けたくなるような瞬間が多くあった。 ・役所という機関が比較的冷ややかに描かれているが、別に仕事はちゃんとしていたと思うし、非難されるほどか?という印象ではあった。少なくとも問題なのは構造で、人間ではない。しかし、ああゆう生活の中で、人間に怒りや憎しみが向…
フィリダ・ロイド監督の新作『サンドラの小さな家』を見た。 www.youtube.com お話はダブリンに住むサンドラ(クレア・ダン)が夫から暴力を受け、2人の娘を連れて家を出るところから始まる。一応、公的支援を受けられるようになるのだが、アイルランドの都市住宅事情は最低で家が見つからず、サンドラは娘たちの通う学校から遠く、ちゃんとした台所などもないホテルの小さな一室に入ることになる。まともな家に住んで自立したいサンドラは娘が学校で聞いてきた修道女ブリジットの故事からヒントを得て、自分で家を建てることに決める。 ダブリンの住宅事情が悪く、そのせいでサンドラのような弱い立場にある市民がわりをくっ…
●代表作 ●「lacinetek.com」の「La liste de Christian Rouaud - LaCinetek」より62本 「革命前夜」より ●代表作 「ラルザックの奇蹟(ラルザックの羊たち)」、 「レ・ リップ、イマジネーション・トゥ・パワー」等 映画監督、俳優、脚本家 等で活躍するクリスチャン・ルオー(Christian Rouaud)が影響を受けた・好きな映画。 ※「ラルザックの奇蹟(ラルザックの羊たち/Tous au Larzac)」 ※「レ・ リップ、イマジネーション・トゥ・パワー(Les Lip - L'imagination au pouvoir)」 ●「laci…
素晴らしい映画だった。『ノマドランド』はこれまで見たことのない世界。映画なのかドキュメンタリーなのか、これはいったい何なのか?Nomadland 冒頭のテロップは衝撃だ。ある街の企業が不況で倒産して、地図から”郵便番号が消される”という恐ろしい事実を伝える。 家と夫を失ったファーン(フランシス・マクドーマンド)が放浪しながら行く街で臨時の職業で働いて、次の街へと進んでゆく。そのときに写されるアメリカの大地と自然がときに希望をほのめかし、ときに残酷に押し寄せてくる。 ときは2010年頃の話。ここがポイントだ。 それは2008年のリーマンショックがアメリカ全土の不動産を始めとする資産をクラッシュさ…
写真撮影で大事にすることはいろいろありました。 ただしそれは技術的要件であることが多く、大事にしている内容が何なのか自分で認識できていない感覚がありました。 先日、是枝裕和監督とケン・ローチ監督の『家族と社会が壊れるとき』を読んで、二人の映画を撮影する基礎から「人の幸せ、不幸せはどのようなものか、社会を構造的にとらえる」という言葉が浮かび上がっていて、なるほどなと思ったのでした。 映像と写真では時間の流れ方が異なっており、表現できる内容も違うと思います。 しかし「社会をとらえる」という言葉は、自分の写真においても基礎的だと感じました。 自分を取り巻く環境や、そこから見える被写体を撮ることを通し…
★★★★★ 2021年3月30日(火) TOHOシネマズ梅田7 冒頭で企業城下町の疲弊が語られ、その後アマゾンでの短期雇用がでてくるので、ああケン・ローチ的に分断・格差の問題にリアル側面から言及する映画なのかと思いましたが違ってました。 自分たちはホームレスではなくハウスレスだと言う通り、彼ら彼女らはシステムから弾き出されたのではなく、自らの意思で外に出た人たちなのである。 俺としてはそういう生き方に対して殊更に肯定も否定もする気もないわけで、でも俺が仮に余命が2、3年しかないと言われたとしてキャンピングカーで車上生活しながら、あっちこっち見て回る余生を選ぶかと言われたら、しないわなと思うんで…
帰省時に少し時間ができ、映画に出向いたのだが、『花束みたいな恋をした』と『ノマドランド』のどちらを観ようか悩むこととなった。実は前者にしたかったのだが、その日の後の用事に影響が出るのを恐れ、終映時間が早い後者を選んだ。本作は、2008年のリーマンショック以降に顕著になった、自家用車で寝泊まりし、全米各地を移動しながら働き続けざるをえない高齢者たちの姿を描いたものである。上の概要を聞いただけだと悲惨で救いのない話に思えるが、そのように描いていないのが興味深い。例えば、本作には主人公たちの働き先としてアマゾンが何度も登場するが、何かしらの告発のトーンはほぼ皆無である。ケン・ローチのような映画を期待…
映画『Eggs 選ばれたい私たち』を鑑賞しての備忘録2018年製作の日本映画。70分。監督・脚本は、川崎僚。撮影は、田辺清人。 ボウルに入った卵を菜箸で、かき混ぜる。菜箸がボウルに当たる音が規則的に聞こえる。 海外不妊治療の斡旋会社に、卵子提供の登録に訪れる女性たち。コーディネーター(三坂知絵子)に対して、それぞれが口にするドナー登録の動機は様々だ。謝礼を目当てに登録した葵(川合空)が部屋を出る際、入れ違いに入室したのは偶然にも従姉の純子(寺坂光恵)だった。純子は渡された書面に20~30歳との条件があるのに目が行く。私、もう少しで30歳になるんです。登録に問題はありません。ただ、卵子提供希望者…
「サンドラの小さな家」2021年4月3日(土)新宿ピカデリーにて。午後2時20分より鑑賞(シアター9/C-7) ~自立に向けて苦闘する女性とそれを支える人々の連帯 安直な感動物語を思わせる「サンドラの小さな家」というタイトル。だが、そんな生易しいドラマではない。むしろ原題の「HERSELF」のほうが、この映画を的確に言い表しているのかもしれない。一人の女性の自立と、それをサポートする仲間たちのドラマである。 映画の冒頭に描かれるのは壮絶なDVだ。サンドラ(クレア・ダン)という女性が夫から激しい暴力を受ける。彼女には2人の幼い娘がいて、その直前に警察に通報するように暗号を発していた。 こうしてサ…
滅多に見る機会のないアイルランド映画。MOVIX昭島にて鑑賞。見ようかどうか迷ったが、映画のついでにモリタウンのバーガーキングへ寄るのもいいかと思ったので行ってきた。予告編をYouTubeで見、Twitterで少しだけ情報を集めた。DV夫から娘二人を連れて逃げたシングルマザーが自分の住居を自力で建てるというストーリー。ケン・ローチ的との評に期待が増した。邦題だと、herselfという原題の政治的あるいは社会的ニュアンスが薄く感じられる。興行的な判断だろうか。 映画のトーンは基本的に暗い。夫の暴力は彼女のみならず(直接には振われていない娘たちにも)被害を及ぼす。暴力シーンは主人公のトラウマとして…
フィリダ・ロイド監督。アイルランド、サンドラ(クレア・ダン)は二人の娘を連れ虐待夫の元から逃げ出す。公営住宅は長い順番待ち、仮住まいから抜け出せないサンドラは、清掃人として働く家の医者ペギー(ハリエット・ウォルター)、建設業者エイド(コンリース・ヒル)たちの助けを借りてセルフビルドの家を建てることにするが…。DV、貧困、住宅問題、シングルマザーと社会問題を真正面から取り上げヒューマンドラマにしているところが、「家族を想うとき」や「わたしは、ダニエル・ブレイク」のケン・ローチみたいな印象。憎たらしい夫の悪役ぶり、優しい仲間の味方ぶりなど分かりやすい構成なところも似ている。家の作り方をもうちょっと…
NHKで放送された、ケン・ローチ監督と是枝裕和監督の対談をまとめて、加筆された本。 たしかに、家族と社会を中心に映画作品で扱うお二人のようですから、こうしたタイトルになったのでしょうけれども、何度か読み直して本書のタイトルは「2人の映画製作論」にした方が、ずっと購入者に内容がわかりやすかったのではないかと思いました。(まあ売れるオモシロタイトルではないでしょうけれども) 英国の家族や社会について社会主義者からの視点で語るローチ監督の文章は、どんどん加速していくグローバルな資本主義社会で、立ち止まって考え直す機会をもたらすもので、映画も観てみたいです。 是枝裕和監督はローチ監督を偉大な監督と書き…