Ken Loach 1936年6月17日生まれ イギリス・ウォリックシャー出身 映画監督 社会の厳しい現実の中を生きる労働者・労働者階級達を一貫して描き続ける、イギリス映画界きっての巨匠。カンヌ国際映画祭、ヴェネチア国際映画祭、ベルリン国際映画祭、英国アカデミー賞、ヨーロッパ映画賞と、その受賞歴と彼の芸術的貢献に送られてきた賛辞には枚挙に暇が無い。監督業でだけでなく、実際にも労働者達の為に社会的な援助・擁護活動を行っている。
映画監督の是枝裕和とケン・ローチの対談番組を元に、追加取材と加筆修正を行ったもの。この本の元になった番組は二本とも見たのですが、どうしても尺の都合で物足りない部分や、もう少し詳しく聞きたいところがありました。 たまたま、図書館でこの本を目にしたので改めて番組を思い出しつつ読み進めました。 是枝裕和作品で鑑賞済なのは、「万引き家族」「そして父になる」「真実」「怪物」の四本。監督の名を一躍高からしめた「誰も知らない」は未見。あまり知った風なことは書けませんが、共通しているのは「誰にとっての真実か」を追いかけているのか、という点です。善悪や是非ということではなく、登場人物にとってそれしかないような行…
引用元:amazon.co.jp ↑ のポスターに書かれている「わたしは、ダニエル・ブレイク」監督最新作 とあるけれど、普通にケン・ローチ監督最新作でよくない?(ケン・ローチと知らずにダニエル・ブレイクを観た人が何割居るのだろう?) 2019年のイギリス・フランス・ベルギーの作品 原題は「Sorry, We Missed You」(宅配便の不在票) 邦題は意味的にはズレていないけれど、ぼんやりした印象 今から十数年前、建築会社に勤めていたリッキーは、妻のアビー、そして息子のセブと暮らす家を買おうとローンを組む しかし、その直後に起こった金融危機で仕事も家も失い、短期雇用で食い繋ぎながら賃貸住宅…
引用元:filmarks.com 久しぶりにケン・ローチ監督作品を 一番の感想は 「見逃さずに済んで良かった」 時々、目に入るタイトルだったのに、「ありがとう、トニ・エルドマン」はもう観たしなあ、と何の関係もない作品と混同して(どうして混同したのか自分でもわからない)今まで手付かずだった 案外、タイトル中の句読点は印象強いのかもしれない(←無理があるなあ) ちなみに、両作品とも素晴らしい内容ではあるけれど、句読点付きのタイトルがこれ以上増えると、一層混同してしまうのでご勘弁 笑 ニューカッスルで、40年間大工として働き、税金も納めてきたダニエル(デイヴ・ジョーンズ) 心臓発作で倒れて以来、職を…
わけわからない行政手続きに翻弄される生活者。 真面目に働き、子育てをしている人の当たり前が通じなくなっている。 福祉が必要なのに、疎外されていくその様子をくっきりと描き出していく。 2017年イギリス。ケン・ローチ監督。 いったん監督業を引退した監督が、物言わずにはいられない状況に、高齢をおして復帰し撮影したという。 見ていて腹立たしい状況が波状攻撃してくる。 そして、思う。 はて、これは、他国のことか? 2022年日本でも、そっくりな状況がみられる。 自分事として似た経験はだれもがしているのではないか。 見てみてよ、この映画。 ほっておくと、我々の生活もこうなるのでは? こんな狂った価値観に…
出たときにわりとすぐ読んだ本ですが、ひさしぶりに。 アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した | ジェームズ・ブラッドワース, 濱野大道 |本 | 通販 | Amazon 同じ2019年に「ゼロ時間契約」(あらかじめ定められた労働時間が0時間の契約=安定した給料が保証されていない)のトラック運転手とその家族をテーマにしたケン・ローチの映画『家族を想うとき』が公開されました。この映画も本書と同様、実際には自由など全く存在しないにもかかわらず「個人事業主」的形式で働く労働者とその家族の悲哀を扱っています。 労働者と個人事業主 本書では扱われているのは、現代イギリスのアマゾンの倉庫、訪問介護、…
家族を想うとき【100分】 映画情報 2019年制作 時間:100分 製作国:イギリス・フランス・ベルギー 原題:Sorry We Missed You 監督 ケン・ローチ 出演 クリス・ヒッチェン/リッキーデビー・ハニーウッド/アビーリス・ストーン/セブケイティ・プロクター/ライザ・ジェーンロス・ブリュースター/マロニー あらすじ イギリス、ニューカッスルに暮らすターナー家。フランチャイズの宅配ドライバーとして独立した父のリッキーは、過酷な現場で時間に追われながらも念願であるマイホーム購入の夢をかなえるため懸命に働いている。そんな夫をサポートする妻のアビーもまた、パートタイムの介護福祉士とし…
今なお色褪せない、巨匠ケン・ローチのデビュー作辺縁化された女性が夢と現実に揺れながら力強く生き抜く 『夜空に星のあるように』(ケン・ローチ監督/1967年/イギリス) yozoranihoshi.com 本レビューでも幾度となく取り上げている社会派の巨匠ケン・ローチは、貧困や差別の問題を精力的に描き続けてきました。そのデビュー作である「夜空に星のあるように(原題:PoorCow)」は1967年に製作されました。フォーク界のビッグネーム、ドノヴァンが音楽を担当した本作ですが、今なお色褪せることなく見るものに社会問題、女性の辺縁化、生きづらさについて強く訴えるものがあります。■18歳で出産した主人…
ケン・ローチ監督作品。イギリス・ロンドンにおいて女性労働者と移民が置かれた悲惨な状況と、そのなかで両者が奪い・奪われる関係を描く。職業紹介業を開業し、移民たちを搾取する主人公アンジーが、なぜそうした危ない橋を渡らざるをえないのかといえば、彼女もまた男性性中心の社会で虐げられているからである。ケン・ローチがどの時期のロンドンをモデルにこの作品をつくったのかが気になった。
新“自由”主義の蔓延する世界で「搾取する側」に回ったシングルマザーの物語 映画『この自由な世界で』(ケン・ローチ監督/2007年/イギリス、イタリア、ドイツ、スペイン) 映画「この自由な世界で」は2007年イギリスで製作された映画です。監督はケン・ローチ。これまでも同監督の作品をいくつも取り上げてきましたが、今回の作品は主人公が搾取する側に回るという点で異質な作品となっています。■理不尽に解雇され、労働者から搾取する道選ぶ 主人公はシングルマザーで派遣会社勤めのアンジー。息子の面倒はアンジーの父母が見ていました。彼女は、派遣会社の社員としてとても優秀で、様々な顧客の開拓などの実績を上げていまし…
引用元:Yahoo!映画 2009年のケン・ローチ監督作品 もちろん労働者階級の日常を描いてはいるけれど、いつもよりコメディ感強め いろんなことが上手く行かず、人生に絶望している郵便局員のエリック(スティーブ・エベッツ)は、7年前に出て行った妻の連れ子ふたりと三人で生活している 上の子はギャングの仲間とつるんでいる様子で心配が絶えないし、下の子も言うことを聞かず学校を休んでばかり エリックの働きぶりもいい加減で、ある日仕事中に不注意運転で交通事故を起こしてしまう 自暴自棄になったエリックは、上の子が床下に隠している大麻を吸ってしまう 朦朧とする意識の中で、部屋に貼られている憧れのヒーローである…
「シネマの男 父なき時代のファーザーシップ」第21回は、ケン・ローチ監督の『家族を想うとき』(2019)を取り上げてます。 forbesjapan.com 原題は「Sorry We Missed You」(ご不在につき失礼します)。邦題からは思いもよらない”宅配の地獄”が描かれています。しかしこの邦題、もうちょっと何とかならなかったのか?と思います。確かに、主人公には「家族を想う」気持ちがあって過酷な労働に駆り出されていくのですが、働き始めたらそんなことを想ってるような余裕がない。とにかく余裕がないことで軋みが生まれ、悲劇の引き金になっていくのです。 実際に起こった事故をヒントに作られたドラマ…
ハリポタシリーズ全作を見直すうちに、正しさを強硬に押し通そうとするアンブリッジ先生が主役を演じたこの作品も見たくなりました。 このおばちゃん・・・。ただ善良で優しいだけのあか抜けない中年女性。自分より困っている誰かのために尽くすんだけど、そのことが自分に犯罪としてのしかかってくることを、想像できなかった。でも想像していても辞めなかったかもしれない。 いつも小ぎれいにして、純血の価値観を守ることに誇りを持っているアンブリッジ先生とは真逆です。イギリスの俳優のこういう上手さがほんとに好きだわ。 懲役刑の判決、家族の苦しみ。「困っている人を助けようとしたの」では終わらない。失敗して亡くなった女性たち…
●概要 ●海外勢919名 ●他俳優 ・「日本勢のリスト」へ ●概要 映画監督、脚本家、プロデューサー、俳優、その他スタッフといった映画人が影響を受けた・好きな映画。
2016年放映の「わたしはダニエル・ブレイク」を観ました🎵名匠ケン・ローチによる、貧困などの困難を抱えるシングルマザーを取り上げた物語です。映画を題材にした講演会も行われました。コロナ禍は様々な人に影響を与えましたが、特に女性不況とも言われていますね。人権に対する映画とセミナーは、今年は3回目の参加です。コロナ禍になり、色んな場面で、考えさせられることが多くなりました。皆さんも気を病まないように・・・(^_^;)
告知がまた遅れましたね、スミマセン。 「シネマの男 父なき時代のファーザーシップ」第20回は、フランス映画『アマンダと僕』(ミカエル・アース監督、2018)を取り上げています。 forbesjapan.com パリが舞台。初夏のパリの街の雰囲気が画面いっぱいに伝わってきて、見ていて心地よいです。「僕」であるダヴィッドを演じるヴァンサン・ラコストも、優しくてごく普通の青年を好演。そしてアマンダ役の少女が、じわじわと来る良さ。以下、本文より抜粋します。 特筆すべきは、監督に見出され本作でスクリーンデビューしたイゾール・ミュルトリエの演じる、アマンダの存在感だ。あどけなさとやや大人びたところが混じる…
●全7項目 ●代表作 ●「浦沢直樹の漫勉neo」第14回(通算第30回)より24本 ●「ワールド・イズ・マイン」単行本で言及した主な映画9本 ●ビームコミックス「真説 ザ・ワールド・イズ・マイン」インタビューより21本 ●「twitter(@arai_h_official)」で語った主な映画35本 ●「asahi-mullion.com」の「ホームコラム私の描くグッとムービー」より1本 ●その他2本 「男の出発(ディック・リチャーズ)」より ●全7項目 ●代表作 漫画「SUGAR(シュガー)」「RIN(リン)」、 「宮本から君へ」、 「ザ・ワールド・イズ・マイン」等 漫画家として活躍する新…
前記事に関連して、希望について。 明け方、再び寝入った末っ子の隣で、映画監督ケン・ローチのエッセイを読んでいたら、はっとさせられる文章があった。 私たちの希望は、人々の正義と、搾取と圧政に対する抵抗の歴史に基づいています。 人々は闘争を通じて成長するのです。 他者との連帯や良きユーモアは、政治運動に関わる中で共通の敵に直面したり、問題解決の策を練ったり、真の仲間と言行が一致しない者を見分ける経験などを通じて、手に入れ、学んでいくものです。 闘争は、偉大な教師なのです。 だからこそ、未来が暗澹として見えるとき、私たちがポジティブでいるための希望は闘争の中にこそ見いだすことができると私は考えます。…
どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。 今回は非常に参考にしている映画評論家松崎健夫さんが強くプッシュしていたこともあって、結構前から注目していた作品になります。 WATCHA4.5点 Filmarks4.4点 (以下ネタバレ有)
引用元:amazon.co.jp 1998年の作品 現在と過去を交差しながらストーリーが進む (現在) 印刷会社で働いている照恵(原田美枝子)は、女手一つで高校生の娘みぐさを育てている 幼い頃に病死した父で、台湾人の陳文雄(中井貴一)の遺骨を探していた 父が亡くなった病院や区役所などを訪ねるも、年数が経ち過ぎているせいか手掛かりも掴めず途方に暮れる みぐさは、最近帰りが遅い理由も言わない照恵を心配し、口論になってしまう そして、照恵がみぐさの頬を叩いてしまい、みぐさは(言い過ぎてしまった自分が悪いせいで、初めて母に叩かれてしまったと)ショックながらも、同時に母親の愛も感じていたが、照恵の方は幼…
映画『遠いところ』(感動!)。 ★ 7月15日㈯。 「TOHOシネマズ池袋」で、千原徹也監督の『アイスクリーム・フィーバー』を見る。 芥川賞作家・川上未映子の短編小説「アイスクリーム熱」を原案に、世代の異なる4人の女性の思いが交錯する姿をつづったラブストーリー。 (「映画.com」から) 2週間くらい前に見た映画だが、ほとんど記憶に残っていない。 映画のあと、居酒屋「青龍」で飲む。 ★ 7月19日㈬。 「シネ・リーブル池袋」へ、工藤将亮(くどう・まさあき)監督の『遠いところ』を見にいく。 沖縄県のコザで幼い息子を抱えて暮らす17歳の女性が、社会の過酷な現実に直面する姿を描いたドラマ。 (「映画…
「遠いところ」2023年7月7日(金)シネ・リーブル池袋にて。午後2時30分より鑑賞(シアター2/E-5) ~17歳の母親の転落。ここには沖縄の若者の過酷な現実がある 夏休みになると給食がなくなって、まともに食事をとれない子供の存在が問題になっている。だが、沖縄の現状はもっと深刻だ。若者の貧困が大きな社会問題になっている。それが子供にも影響している。 「遠いところ」は、その貧困問題をはじめ沖縄の様々な問題を視野に入れたドラマだ。 主人公は、沖縄県のコザで幼い息子を抱えて暮らす17歳の女性アオイ(花瀬琴音)。生活のために祖母に幼い息子を預け、友達の海音(石田夢実)と朝までキャバクラで働き生活費を…
なんて暑苦しくてエネルギッシュな映画でしょう。画面からあふれ出て押し寄せるカロリーがすごくて、見てるだけでインド人になってしまいそう。 今までに見た数少ないインド映画には、家族の愛情や、身分違いの恋や、宗教対立を果敢に描いてきたものなどがあったけど、とうとう彼らはかつて自分たちを支配した英国を敵として真っ向から描く勇気を得たんだな。ブラック・エクスプロイテイション・ムービーみたいな時代がボリウッドにやってきた。(悪役を演じられる欧米系の俳優の質と数をこれだけ確保できるようになったという事実もある) この二項対立はあまりに一方的なので、インド側に感情移入しやすい。警察官となって一部のインド人を迫…
1月 チェン・ユーシュン監督作「1秒先の彼女」("消失的情人節" : 2020) ジョン・クラシンスキー監督作「クワイエット・プレイス 破られた沈黙」("A Quiet Place Part II" : 2020) フェリックス・デュフール=ラペリエール監督作「新しい街 ヴィル・ヌーヴ」("Ville Neuve" : 2018) 前田哲監督作「老後の資金がありません!」(2021) マイク・P・ネルソン監督作「クライモリ」("Wrong Turn: The Foundation" : 2021) メリッサ・レッシュ,トレヴァー・ベック・フロスト監督作「ワイルドキャット」("Wildcat" …