Ken Loach 1936年6月17日生まれ イギリス・ウォリックシャー出身 映画監督 社会の厳しい現実の中を生きる労働者・労働者階級達を一貫して描き続ける、イギリス映画界きっての巨匠。カンヌ国際映画祭、ヴェネチア国際映画祭、ベルリン国際映画祭、英国アカデミー賞、ヨーロッパ映画賞と、その受賞歴と彼の芸術的貢献に送られてきた賛辞には枚挙に暇が無い。監督業でだけでなく、実際にも労働者達の為に社会的な援助・擁護活動を行っている。
引用元:amazon.co.jp 大して飲まないけれど、普段はビールやワイン、シャンパンを飲む ウィスキーも同じくらい好きだけど、(氷とか)準備が面倒で、飲む頻度は低い ところが、コロナ禍も二年目を迎えた2021年に、突然深みにはまってしまった 特にスコットランド(その中でもアイラ島のシングルモルト)のウィスキーを飲むようになってから、ビールやワインの登場が減ってしまうほどに (氷を用意するのが面倒なこともあって)ストレートで飲み始めたことで、前より味わえるようになったことも大きい そもそも「美味しいウィスキーを水で割ってしまうこともなかろうに」と思う そんなタイミングで選んだ映画は、スコット…
映画監督の是枝裕和とケン・ローチの対談番組を元に、追加取材と加筆修正を行ったもの。この本の元になった番組は二本とも見たのですが、どうしても尺の都合で物足りない部分や、もう少し詳しく聞きたいところがありました。 たまたま、図書館でこの本を目にしたので改めて番組を思い出しつつ読み進めました。 是枝裕和作品で鑑賞済なのは、「万引き家族」「そして父になる」「真実」「怪物」の四本。監督の名を一躍高からしめた「誰も知らない」は未見。あまり知った風なことは書けませんが、共通しているのは「誰にとっての真実か」を追いかけているのか、という点です。善悪や是非ということではなく、登場人物にとってそれしかないような行…
引用元:amazon.co.jp ↑ のポスターに書かれている「わたしは、ダニエル・ブレイク」監督最新作 とあるけれど、普通にケン・ローチ監督最新作でよくない?(ケン・ローチと知らずにダニエル・ブレイクを観た人が何割居るのだろう?) 2019年のイギリス・フランス・ベルギーの作品 原題は「Sorry, We Missed You」(宅配便の不在票) 邦題は意味的にはズレていないけれど、ぼんやりした印象 今から十数年前、建築会社に勤めていたリッキーは、妻のアビー、そして息子のセブと暮らす家を買おうとローンを組む しかし、その直後に起こった金融危機で仕事も家も失い、短期雇用で食い繋ぎながら賃貸住宅…
引用元:filmarks.com 久しぶりにケン・ローチ監督作品を 一番の感想は 「見逃さずに済んで良かった」 時々、目に入るタイトルだったのに、「ありがとう、トニ・エルドマン」はもう観たしなあ、と何の関係もない作品と混同して(どうして混同したのか自分でもわからない)今まで手付かずだった 案外、タイトル中の句読点は印象強いのかもしれない(←無理があるなあ) ちなみに、両作品とも素晴らしい内容ではあるけれど、句読点付きのタイトルがこれ以上増えると、一層混同してしまうのでご勘弁 笑 ニューカッスルで、40年間大工として働き、税金も納めてきたダニエル(デイヴ・ジョーンズ) 心臓発作で倒れて以来、職を…
わけわからない行政手続きに翻弄される生活者。 真面目に働き、子育てをしている人の当たり前が通じなくなっている。 福祉が必要なのに、疎外されていくその様子をくっきりと描き出していく。 2017年イギリス。ケン・ローチ監督。 いったん監督業を引退した監督が、物言わずにはいられない状況に、高齢をおして復帰し撮影したという。 見ていて腹立たしい状況が波状攻撃してくる。 そして、思う。 はて、これは、他国のことか? 2022年日本でも、そっくりな状況がみられる。 自分事として似た経験はだれもがしているのではないか。 見てみてよ、この映画。 ほっておくと、我々の生活もこうなるのでは? こんな狂った価値観に…
出たときにわりとすぐ読んだ本ですが、ひさしぶりに。 アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した | ジェームズ・ブラッドワース, 濱野大道 |本 | 通販 | Amazon 同じ2019年に「ゼロ時間契約」(あらかじめ定められた労働時間が0時間の契約=安定した給料が保証されていない)のトラック運転手とその家族をテーマにしたケン・ローチの映画『家族を想うとき』が公開されました。この映画も本書と同様、実際には自由など全く存在しないにもかかわらず「個人事業主」的形式で働く労働者とその家族の悲哀を扱っています。 労働者と個人事業主 本書では扱われているのは、現代イギリスのアマゾンの倉庫、訪問介護、…
家族を想うとき【100分】 映画情報 2019年制作 時間:100分 製作国:イギリス・フランス・ベルギー 原題:Sorry We Missed You 監督 ケン・ローチ 出演 クリス・ヒッチェン/リッキーデビー・ハニーウッド/アビーリス・ストーン/セブケイティ・プロクター/ライザ・ジェーンロス・ブリュースター/マロニー あらすじ イギリス、ニューカッスルに暮らすターナー家。フランチャイズの宅配ドライバーとして独立した父のリッキーは、過酷な現場で時間に追われながらも念願であるマイホーム購入の夢をかなえるため懸命に働いている。そんな夫をサポートする妻のアビーもまた、パートタイムの介護福祉士とし…
今なお色褪せない、巨匠ケン・ローチのデビュー作辺縁化された女性が夢と現実に揺れながら力強く生き抜く 『夜空に星のあるように』(ケン・ローチ監督/1967年/イギリス) yozoranihoshi.com 本レビューでも幾度となく取り上げている社会派の巨匠ケン・ローチは、貧困や差別の問題を精力的に描き続けてきました。そのデビュー作である「夜空に星のあるように(原題:PoorCow)」は1967年に製作されました。フォーク界のビッグネーム、ドノヴァンが音楽を担当した本作ですが、今なお色褪せることなく見るものに社会問題、女性の辺縁化、生きづらさについて強く訴えるものがあります。■18歳で出産した主人…
ケン・ローチ監督作品。イギリス・ロンドンにおいて女性労働者と移民が置かれた悲惨な状況と、そのなかで両者が奪い・奪われる関係を描く。職業紹介業を開業し、移民たちを搾取する主人公アンジーが、なぜそうした危ない橋を渡らざるをえないのかといえば、彼女もまた男性性中心の社会で虐げられているからである。ケン・ローチがどの時期のロンドンをモデルにこの作品をつくったのかが気になった。
新“自由”主義の蔓延する世界で「搾取する側」に回ったシングルマザーの物語 映画『この自由な世界で』(ケン・ローチ監督/2007年/イギリス、イタリア、ドイツ、スペイン) 映画「この自由な世界で」は2007年イギリスで製作された映画です。監督はケン・ローチ。これまでも同監督の作品をいくつも取り上げてきましたが、今回の作品は主人公が搾取する側に回るという点で異質な作品となっています。■理不尽に解雇され、労働者から搾取する道選ぶ 主人公はシングルマザーで派遣会社勤めのアンジー。息子の面倒はアンジーの父母が見ていました。彼女は、派遣会社の社員としてとても優秀で、様々な顧客の開拓などの実績を上げていまし…
●概要 ●海外勢951名 ●他俳優 ・「日本勢のリスト」へ ●概要 映画監督、脚本家、プロデューサー、俳優、その他スタッフといった映画人が影響を受けた・好きな映画。 「国別」、未個別化「一覧」、それ以外「その他作家」、「映画評論家のベスト」 ※2022年12月21日追記:文字数制限のため「日本勢」リンク集独立
ケン・ローチの『石炭の値打ち』を観た後で『イギリス炭鉱ストライキの群像――新自由主義と闘う労働運動・1980年代のレジェンド』を読むと、サッチャー政権がイギリスの炭鉱労働者の何を潰そうとしたのか、そしてケン・ローチと脚本のバリー・ハインズによる描写の正確さが手に取るように実感できて面白い。『パレードへようこそ』の題材にもなった1984〜85年にかけての炭鉱ストライキ。このストライキについてはケン・ローチも『Which Side Are You On?』というドキュメンタリーを撮って炭鉱労働者達への支持を表明している。
今週は、わりと大きめのプロジェクトの一部として、自分が担当する細胞培養の本番1回目を行いました。マウスから細胞をとって、それを選り分けたあと、目的の細胞を試薬と一緒に培養して、3日後に培養上清や細胞を取って保存、というものです。日本ではマウスに触ったことがなかったので、そこが一つ課題でしたが、手技自体はそれほど難しくなく(別のマウス実験は手こずっておりますが)、もともと細胞の分離と培養は慣れているので、全体として大した難易度ではないのですが、やはり環境が違うとあれこれ大変で、日本でのラボ環境とは備品の配置や仕様がいろいろ異なっており、ちょっとした作業に手こずったり、クリーンベンチと試薬庫の間を…
2月22日はニャンニャンニャンの猫の日ということで、何か猫関係の映画を観たいなと思ってこちら。ベストセラー本となった実話を元にした映画です。 ロンドン。麻薬常習者のホームレスのジェームズはなんとか更生しようと苦闘している。ソーシャルワーカーのヴァルはこれが最後のチャンスだと感じてジェームズに住居を見つける。そのフラットに迷いこんできた野良猫(ボブ)が、ストリートミュージシャンであるジェームズに思わぬ幸運をもたらす、というお話。 まず、イギリスでのホームレスの問題というのは深刻の度合いを減らすどころか増している状況。この映画が公開された2016年は私はちょうどサバティカルでイギリス(ウェールズ)…
引用元:transformer 実話に基づいたフランスの法廷劇 タイトルのサントメールとは、フランス北部にある街の名前 作家であるラマ(カイジ・カガメ)は、取材対象としてある裁判の傍聴にこの街を訪れる 被告ロランス(ガラスジー・マランダ)は、生後15か月の娘を海辺に置き去りにし、死亡させた容疑で逮捕されていた セネガルで生まれ育った後に、フランスに留学し、流暢なフランス語を話すこの若い母親が、何故非道な犯行に及んだのか 彼女は罪を認めてはいるものの、その動機や経緯の説明に不透明で曖昧な部分も多く、法廷内には不穏な空気が流れる中、亡くなった娘の父親にあたるフランス人男性や、ロランスの母親らが証言…
『オッペンハイマー』でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたことをアイルランドの実家で知ったというキリアン・マーフィー。彼がケン・ローチの『麦の穂をゆらす風』に主演した際には、この実家から撮影に通ってたってのは凄くいい話。キリアンの父親によると、このケン・ローチ映画の撮影に没頭したことで、彼は役者として非常に多くのものを学んだとの由。
以前、SNSか何かで誰かが『PLAN75』の感想を述べていて気にはなっていたんですよね。作品は75歳以上の人たちに自らの生き死にを決める権利を与える「プラン75」という制度が当たり前になった日本が舞台。この制度の対象者である78歳の女性を主人公として、制度をすすめる役所の人間や、利用者に関わる人たちの群像劇を描いています。 PLAN 75/Blu−ray Disc/BIXJ-0400 posted with カエレバ 楽天市場 Amazon 概要だけ見ると、テーマは重いし人によってはしんどくなるかもなぁと思いつつ、僕はこの映画を観ていてアレコレ考えることもあったし、結果的に「観てよかったなぁ」…
ヴィム ヴェンダース PERFECT DAYS パンフレット チラシ ノーブランド品 Amazon ヴィム・ヴェンダース監督『PERFECT DAYS』鑑賞。kino cinéma新宿にて。昨年最後に劇場で鑑賞した1本。賛否両論耳に入ってきて、これは自分の目で確かめねばと思い劇場へ。 東京を舞台に公衆トイレ清掃作業員平山(役所広司)の日常生活を描く。洗練とは無縁な極めてヴェンダースらしい小品で悪くないと思う。畳の部屋で洋楽聴いて翻訳本を読む無口な中年男の日常は、あり得たかもしれない自分の姿を見るようで、ある種のリアリティを持って響いた。もし家庭を持っていなかったら、自分はああいう生活を送ってい…
今年映画館で観た映画のゆるくいいかげんな感想。 ⚠️ネタバレ注意⚠️ 『ベイビー・ブローカー』是枝裕和監督 何語で撮っても是枝節になるね。『真実』もそうだったな。 血の繋がりのない者たちが赤ちゃんを中心に疑似家族になる。『万引き家族』の希望ありバージョン。最後に刑事が子供を預かって育てるところとかちょっと丸く収まりすぎでは、と思うところもあったけど楽しめた。刑事たちが張り込み中にいつももぐもぐしてるのがいい。少年がいい味を出してて、見てる間中ずっと誰かに似てると考えてたけど誰か思い出せない。 『Holy Spider』(聖地には蜘蛛が巣を張る)アリ・アッバシ監督 カタカナばかりの邦題はあまり好…
毎年12月に開催される日本映画学会の全国大会を終えました。今回は今年の春に修士課程へ入学した大学院生がケン・ローチの『わたしは、ダニエル・ブレイク』(2016)について発表しました。博士後期課程へ進むか、あるいは就職活動をするか、はたまた他の活動を模索していくか、その選択を広げるためにもM1から積極的に発表するのは修士論文に早くから取り掛かれるので良いことです。本人はすごく緊張されていたようだけれど、質疑応答もきちんと答えられていたし、素直にすごいと思いました。引き続き頑張ってもらいたいです。 日本映画学会第19回大会のプログラムは以下からアクセスできます。 学会を終えて12月も半ばに差し掛か…
枯れ葉 枯れ葉 作品情報 あらすじ 感想 10年前はこんな映画見なかった。 何が俺をそこまでさせたのか 最後に
ドノヴァンの幻の名盤『Live In Japan』の奇跡のリイシューがそろそろ日本にも届き始めている模様。我が家にも無事に到着。しかも1セットしか注文していないのに2セット届きました! せっかくだから1セットはサム・フリークスの児童支援金集めの為のテイクフリーとして出品させてもらうことにします。サム・フリークス Vol.27はケン・ローチの『石炭の値打ち』の日本初上映で、彼の『夜空に星のあるように』はドノヴァン大フィーチャー映画だからちょうどいいかと。『Live In Japan』のボーナスDVDに収録されている当時の日本ツアーを記録した『Yellow Star』は意外にもちゃんとした「短編劇…
今度の映画紹介シリーズはずばり"格差映画"! まるで共通テストの問題みたい?な「天国と地獄」 取り違い誘拐事件が勃発 権藤を演じる三船敏郎さんの迫力がすごい! ワイドスクリーンを意識した演出が見事! 犯人役の山崎努さんの怪演ぶりにも注目! アパートから豪邸が見えるのが格差を感じさせる 三船さんにも山崎さんにも肩入れしない作り方 この映画のエピソード ➀映画の公開後日本で誘拐事件が多発した! ②日本の法律を変えた! この映画で気になること ➀舞台となっている横浜で英語の看板が目立つ ②薬物中毒者が多く出て来る 格差社会が進んだ要因は?凶悪犯罪は増える? 「天国」と「地獄」の分断が起きている 日本…
たとえば『わたしは、ダニエル・ブレイク』や『家族を想うとき』だけを観てもケン・ローチという映画作家の全体像を把握することは全くできないけれど、サム・フリークス Vol.27で上映する『石炭の値打ち』を観ればケン・ローチの全体像はほぼ把握できる。ケン・ローチ全部乗せみたいな作品。だからこそ最高傑作の一つに挙げられるべきだし、これほどケン・ローチの入門編に相応しい上映もないと思うんすよね。これは余談だけど、(ケン・ローチとの共著本まで出している)是枝裕和はおそらく『石炭の値打ち』を観ていないと思う。