奢侈と虚栄、情欲とエゴイズムが錯綜するパリ社交界に暮す愛娘二人に全財産を注ぎ込んで、貧乏下宿の屋根裏部屋で窮死するゴリオ爺さん。その孤独な死を看取ったラスティニャックは、出世欲に駆られて、社交界に足を踏み入れたばかりの青年だった。破滅に向う激情を克明に追った本書は、作家の野心とエネルギーが頂点に達した時期に成り、小説群“人間喜劇”の要となる作品である。
ゴリオ爺さん (新潮文庫)
◆ バルザックとは何者か? Honoré de Balzac(オノレ・ド・バルザック)は、19世紀フランスを代表する小説家です。1799年生まれとされますが、誕生日については5月20日説と5月19日説が混在しており、文献によって異なります。 彼が生涯をかけて描いたのは、ただの物語ではありません。実在の社会そのものを映し出す“鏡”のような文学作品。その集大成こそが、彼の代表作群『人間喜劇(La Comédie Humaine)』です。 ◆ 『人間喜劇』とは? 「人間喜劇」とは、フランス社会の全階級・全職業・全感情を描き尽くすことを目指した、前代未聞の文学プロジェクトです。彼は自らの作品を90編以…
知っているけど、読んだ事がない名作。 結構あるんですよね。 私も何となく内容は知っているけれど、読んだことがなかった。という名作がたくさんあります。 また学生の頃読んだ感想と大人になった今読む名作は感じ方がかなり変わると思います。 そんな名作のあらすじをご紹介します。 あらすじを読んでみて興味があれば実際に本をとり、大人になった今どう感じるか読んでみてくださいね。 フランス文学 レ・ミゼラブル:ヴィクトル・ユゴー 女の一生:モッパーサン ボヴァリー婦人:フローベール フィガロの結婚:ボーマルシェ 狭き門:アンドレ・ジッド カルメン:メリメ ペスト:カミュ ゴリオ爺さん:バルザック 赤と黒:スタ…
★この記事を読むと、オノレ・ド・バルザックの代表的な作品であり、人間喜劇シリーズの中心に位置する作品『ゴリオ爺さん』が読みたくなります。 ★詳細はこちら→『ゴリオ爺さん - Wikipedia』 ★詳細はこちら→『オノレ・ド・バルザック - Wikipedia』 (function(b,c,f,g,a,d,e){b.MoshimoAffiliateObject=a;b[a]=b[a]||function(){arguments.currentScript=c.currentScript||c.scripts[c.scripts.length-2];(b[a].q=b[a].q||[]).pus…
今日はバルザックの書いた「ゴリオ爺さん」を読んだ ゴリオ爺さん (光文社古典新訳文庫) 作者:バルザック 光文社 Amazon 舞台は1819年ごろのパリ。革命とナポレオンの時代は過ぎ去り、再び王が支配者になった時代だ。 主な登場人物は、南仏の田舎貴族家からパリの大学へやってきたラスティニャック、教養が深く理知的で謎めいた大男のヴォートラン、そしてゴリオ爺さんという3人の男だ。彼ら3人などが暮らすのが、パリの場末の下宿「ヴォケール館」。 特に話を動かすのはラスティニャックである。 この小説は……面白かった! Kindle Unlimited で読んだんだけど、思わず紙でも買ってしまったくらいに…
『ペール・ゴリオ パリ物語 バルザック「人間喜劇」セレクション (第1巻)』バルザック著 鹿島茂訳を読む。 なぜ、日本ではバルザックがポピュラリティーを得なかったのか。極論すれば、日本が物質的に貧しかったからだ。食べることに汲々としていては、やはり贅沢は敵であり、富は悪、金は下賎なものだった。ゆえに、戦前は、銀行員は上等な職業ではなかったことを山本夏彦のエッセイで読んでいたことを、ふと、思い出した。ちなみに、ぼくの母方の祖父は銀行員だったが。 ところが、悪名高きバブル時代を体験して日本人は、ようやくバルザックの描いた世界-たとえば蒐集家のごとき道楽者、あるいは遺産相続をめぐる親近者による骨肉の…
1.経緯 トマピケを読んでいた際、「ラスティニャックのジレンマ」や「ヴォ―トランのお説教」が出てきた。この元ネタは、バルザックのゴリオ爺さんであるということなので、その流れで拝読。最初に読んだのは、社会人1年目の冬ころ。 21世紀の資本 作者:トマ・ピケティ みすず書房 Amazon ゴリオ爺さん(新潮文庫) 作者:バルザック 新潮社 Amazon 2.内容 南仏出身の青年がパリでの立身出世を目指すものの、その手段をめぐり、右往左往しながら、葛藤の末、ピカレスク的な生き方を選ぶという話。 3.名フレーズ ただ彼女は、身近の人間はやたらと疑う癖に、どこの誰ともわからない相手には気を許す多くの人た…
以前記事にした「筑摩世界文学大系19 ゲーテI」と同じ全集に属する第23巻、やはり昭和35(1960)年の発行である。 バルザックの作品で読んだとはっきり記憶しているのは「ゴリオ爺さん」くらいで、個人的にはあまり馴染みの深い作家ではないが、この一作を読んだだけでも、その怒涛の如き文体は強烈に印象付けられた。 ドストエフスキーに通じる、「言葉の洪水」とも言える文章は、その流れに上手く乗ることができれば一気に読み進められる反面、それに逆らおうとすると忽ち激流に翻弄され、溺れる危険を孕んでおり、ちょうど、「音の洪水」と形容されるジョン・コルトレーンの演奏が連想される。 本巻に収録されているのは、長編…
ゴリオ爺さん (新潮文庫)作者:バルザック新潮社Amazon「このわしの命は、ふたりの娘のうちにありますんじゃ。あの子たちが楽しい思いをし、幸せで、きれいな格好をしていれば、絨毯の上を歩くことができれば、わしがどんな服を着ていようと、どんなところで寝ようと、どうだっていいじゃありませんか? あの子たちが暖かくしていればわしも寒くない、あの子たちが笑えば、わしも退屈しませんのじゃ」 二人の娘をパリの社交界に入れるため、貴族と富豪に嫁がせ、財産のすべてを分け与えて自分は安下宿の屋根裏部屋で窮乏のうちに病死するゴリオ爺さんは、親ばかというより異常な情熱に取りつかれた男である。この話から思い出すのは、…